修繕積立金を狙った業界ぐるみの手口
公正取引委員会は今春、関東地方の複数のマンションの大規模修繕工事をめぐり、施工業者間で事前に「受注調整」を繰り返すなど独占禁止法違反の疑いがあるとして、約30社に立ち入り検査を実施した。管理組合が工事を発注する際には、管理会社やコンサルタント会社の助言をもとに施工業者を選定する「設計監理方式」が用いられることが多い。公取委はこうした複数の設計コンサル会社にも聴き取りを進めていると報じられた。
管理会社やコンサル会社、施工業者の“談合”が事実なら、管理組合が選定する工事業者は最も安い価格で入札したのではなく、予め過分な利益を上乗せした価格で受注していたことになる。「修繕積立金」が狙われたパターンのひとつと見られている。
「数千万~数億円規模の工事を発注する管理組合がマンション修繕の専門家ではない以上、業界ぐるみのそうした手口を見破ることは困難です。住民側は5年に1度が推奨されている長期修繕計画の見直しの際に、管理会社の協力を得ながら、外部の第三者とも計画を検証する体制を立てるなど、対策が必要でしょう」(山本氏)
あなたのマンションの修繕積立金も狙われているかもしれない。
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※週刊ポスト2025年8月8日号