「TOB」や「株主還元策の拡充」といったテーマにも投資妙味
不透明感が払拭されつつある日本株市場。専門家の間では「日経平均株価は年内に5万円を目指す」との声もあるが、そこで株価上昇が期待される銘柄はどのようなものか。いま注目するテーマを “億り人”たちに聞いた。
大きな株価上昇が期待できる要素として「TOB(株式公開買い付け)」を挙げるのは、割安な高配当株をメインに資産2億円超を築いた兼業投資家・なのなの氏だ。
「親子上場解消などによるTOBは高値で保有株を買い取ってもらえる可能性が高く、先回りして投資できると大きな利益が期待できます。TOBの可能性が高い銘柄で構成される投資信託『資本効率向上ファンド』(愛称・TOBハンター)に6月末に組み入れられたエスリード、7月に大株主となったアクティビスト(物言う株主)の動向が注目されるオリエントコーポレーションは割安な高配当株でもある。TOBが実現しなくても配当収入が見込めて、TOBになればさらに大きな利益が期待できます」
各社が力を入れる株主還元策の拡充も値上がり期待の要素となる。40代で資産5億円超を築いたサラリーマン投資家のとりでみなみ氏は、その視点から遠藤照明を挙げる。
「商業施設向けのLED照明に強みを持ち、蛍光灯が27年に製造中止となるのが追い風。何より配当性向(純利益に対する配当金の割合)を倍増する方針を表明し、今後の増配が期待できます」
割安成長株への長期投資で資産3億円超を築いたサラリーマン投資家・弐億貯男氏は、来年10月に「セカンドリテイリング」への社名変更を発表したゲオホールディングスに注目する。
「ユニクロのファーストリテイリングとは全く関係ないようですが、話題を集めたのは間違いない。同社はインフレ下のリユース需要に加え、創業家の資産管理会社が自社株買いを進めているのが注目ポイント。株価の下支えが期待できるうえ、自社株買い完了後は企業側がさらに株価上昇を目指す動機になる。そこまで見越せば、今が買い時といえます」
そのほかにも注目銘柄は多い。関連記事《総資産96億円超の億り人20人が厳選「2025年末までの注目銘柄40」を大公開! シゲルさん、桐谷広人さん、かんちさん、配当太郎さん…オールスター勢揃い》では、急成長見込み、高配当から充実の優待まで、億り人たち厳選の最新注目銘柄の数々を紹介している。
※週刊ポスト2025年8月15・22日号