ヒューリックの西浦三郎会長(同社ホームページより)
株主総会シーズンが終わり、3月期決算の上場企業の有価証券報告書が出揃った。3月期決算の企業で1億円以上の報酬を得た役員は880人で過去最多を更新した。その内訳を業界別に見ていくと、興味深い事象が確認できる。
役員報酬が1億円以上の場合、企業は有価証券報告書で対象者の個別開示が義務付けられる。本誌・週刊ポストは東京商工リサーチの協力のもと、2024年度決算期の有価証券報告書の役員報酬を調査。同業者間の競争が激しい業界について役員報酬ランキングを整理した。
そのなかで興味深い事象が確認されたのが不動産業界だった。この業界は、三菱地所や住友不動産といった“財閥系”が君臨している────そんなイメージがあるかもしれない。しかし、最新の役員報酬ランキングでは必ずしもそうなっていない。財閥系に匹敵、あるいは凌駕する報酬を得る“新興勢力”が続々と現われているのだ。
たとえば、中古マンションの再生事業を手がけるスター・マイカ・ホールディングスでは、水永政志社長(60)が7位に入り、2億6500万円の報酬を得ている。同社は資産価値のある中古マンションを買取・再販するビジネスで知られ、安定した利益成長を実現している。
また、物流施設に特化した不動産開発を行なうシーアールイーでは、山下修平会長兼CEO(51)が2億6400万円で8位に入った。同社は倉庫や配送センターなどの需要増を背景に業績を伸ばしてきた。ケイアイスター不動産・塙圭二社長(58)の報酬は2億900万円で11位。同社は戸建て住宅の「製販一体」モデルを掲げ、ローコストかつ高品質な住宅を提供する戦略が功を奏している。
ゴールドクレストの安川秀俊社長(64)も2億300万円で13位にランクイン。さらに、MIRARTHホールディングスグループの島田和一CEO(59)は15位にランクインし、1億9300万円の報酬を得ている。