気付けば老後資産が枯渇しているというケースも(写真:イメージマート)
人生100年時代は「老後」が長い。定年後の選択を間違えると、その後何十年にもわたって苦しい生活が続く一方、正しい決断をすれば充実の後半生が待っている。定年後の働き方で「遅咲き老後」と「落ちぶれ老後」を分ける境界線はどこにあるのか──。
都内在住のAさん(73)は60歳で退職し、退職金1500万円と貯金500万円を合わせて2000万円の資産があった。60歳から65歳まで再雇用で働いて年収200万円、支出の不足分を貯金でカバーすれば住宅ローン完済予定の65歳以降は完全リタイアしても夫婦合わせて月20万円の年金生活で足りるはず……だったが、気付けば資産が枯渇する寸前だという。
「住宅ローンの完済で気が緩んで支出を減らせませんでした。これからバイト探しも考えているのですが、雇ってくれるところはあるのか……」
65歳以降も現役時代と変わらず月30万円の支出をしていたAさんの老後資産はみるみる減り、100万円を切った。家計に詳しいファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏が指摘する。
「Aさんのように浮いた住宅ローン分など本来は節約すべきところで気が緩み、出費が増えて資産が枯渇する人は少なくありません。余計な買い物をしたり、外食の増加や孫への出費で貯金がみるみる減っていくケースは散見されます」
Aさんの場合は支出を見直して月5万円節約するだけで資産寿命が74歳から84歳まで延びた。
「働くことに併せて家計の収支の見直しも。使っていないサービスの会費など無駄な支出を止めれば働き方を緩められるケースは多い。スキマ時間に興味のあるバイトで月3万円だけ稼いで2万円を節約するといった調整もできます。大切なのは自分に合う方法で調整すること。働くことが得意なのか、節約が得意なのか、自分が長く続けられる方法を探しましょう」(風呂内氏)
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※週刊ポスト2025年8月15・22日号