一般選抜に専念していたらもっとうまくいったかもと後悔
このAさんという学生、本当に話すのがうまい。スピーチコンテストでは入賞経験があるというのも納得だ。しかも英語のコンテストでも日本語のコンテストでも評価を得ているし、探究学習のコンテストでも賞をとった。そんな才能あふれる女子なら総合型選抜で慶應や上智に合格するだろうと高校の先生は思って出願させた。しかし、実際は玉砕だったわけだ。
Aさんはいう。
「私は総合型選抜に向いてなかったんだと思います。周りを見ると、公立高校で勉強ばかりだったという子たちも総合型選抜に受かっています。そういう子たちは本や論文を読みこんで、志望理由書を書いていました。あそこまでの調べ学習をすることは私には出来なかったです」
一般選抜に絞って勉強をしていたら、上智やICUに受かったかもしれないという後悔もある。社会の暗記や漢文、古文は弱いという自覚があった。推薦対策にあてた時間を社会や漢文、古文の学習に費やしたら結果は違ったかもしれない。
「先生に薦められたから、私も推薦を受けようと考えたのは判断ミスでした。自分で考えて判断することが大切です。今回、取材を受けようと思ったのは、安易な考えで総合型選抜を受けようと思わないでないでほしいということを伝えたかったからです。推薦入試は情報が入手しにくいので自分でも“慶應や上智に合格するかも”と夢を見てしまいがちですが、そんなに甘いものではないです」
そう自分を分析できるAさんは賢い女性だ。大学での学びで能力を伸ばし、社会に出てから活躍していくだろう。
■前編から読む:「立て板に水のようだ」と面接で絶賛されたのに総合型選抜で不合格…「評定平均値が微妙だったから?」プレゼン強者の女子受験生が見誤っていた敗因分析
杉浦由美子氏の著書『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/受験ジャーナリスト。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『大学受験 活動実績がゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)が2025年4月に発売。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも日々更新中。