また、同じく週末には、NY連銀製造業景気指数やミシガン大学消費者マインド指数など、景気の先行指標的なマインドを映す経済指標の発表が予定されている。雇用情勢に対する見方が変化する状況下、少なくても警戒感は先行しやすいだろう。今週の米国では、利下げ期待から再度、景気の減速懸念に関心がシフトすると考える。
とはいえ、21日からジャクソンホール会合を控えて、早期利下げ期待も一定程度は継続し、米国株式市場の下支えとなりそうだ。今週はインフレ指標の発表も相次ぎ、それぞれ大幅な上振れがない限り、9月利下げへの期待は後退しないだろう。この観点では、消費者物価指数(CPI)よりもむしろ、その先行指標となり得る輸入物価指数などが注目される。関税による物価の上昇懸念が薄まれば、今後のCPIの上振れも限定的と考えられる。
電通グループ<4324>やSOMPO<8630>など一部主力大型株の決算発表は残すが、今週予定されている決算発表は中小型株が中心となる。機関投資家の売買減少が見込まれる中で、決算を手掛かりとした中小型株の値幅取りの動きが今週は中心となってきそうだ。一方、お盆明け後には機関投資家の市場回帰で、好決算発表銘柄を見直す動きが強まっていくとみられ、こうした動きの先回り的な動きなどは妙味となってくる可能性はあろう。
米国の利下げを織り込むならば、セクターでは半導体関連の動向に徐々に関心が向かっていこう。エヌビディアが再度高値を奪回する中、国内関連銘柄には出遅れ感も意識される。TSMCやサムスン電子に米国の関税懸念が後退しており、見直し余地は強まりつつあると考えられよう。なお、週末には自民党の両院議員総会が開催されたが、臨時の総裁選を実施など議論されているもようであり、財政拡張派とされる新総理候補などが今後クローズアップされてくれば、今週の株高材料とされる可能性もある。
今週にかけて、国内では12日に7月マネーストック、13日に7月国内企業物価指数、7月工作機械受注、15日に4-6月期国内総生産(GDP)などが予定されている。
海外では、12日に英・7月失業保険申請件数、独・8月ZEW景気期待指数、米・7月消費者物価指数(CPI)、7月財政収支、14日に欧・4-6月期域内総生産(GDP)改定値、6月鉱工業生産、英・4-6月期国内総生産(GDP)、米・7月生産者物価指数、新規失業保険申請件数、15日に中・7月小売売上高、7月工業生産、7月都市部固定資産投資、米・7月小売売上高、7月輸入物価指数、7月鉱工業生産・設備稼働率、8月NY連銀製造業景気指数、8月ミシガン大学消費者マインド指数、6月対米証券投資などが発表予定。