決算資料をどのように使うか?
日本企業の決算発表が相次いでいる。投資初心者にとっては、企業の決算資料を見て、投資の判断をするのは難しいと思われがちだ。では、何をどのように見ればよいのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第155回は、「決算資料」について。
* * *
株式投資を始めたばかりの人にとって、企業の「IR資料(投資家向け情報)」は少し難しそうに見えるかもしれません。しかし、この決算資料には、投資のヒントがぎっしり詰まっているため、使いこなせるに越したことはありません。最近は、個人投資家にも理解しやすいよう工夫された決算説明資料を出す企業も増えてきています。この記事では、個人投資家がよく目にする主なIR資料の種類と、その使い方を分かりやすく紹介します。
【1】決算短信
企業が3カ月ごとの業績をまとめた資料です。売上や利益、資産や借金の状況などが掲載されており、企業の成績表のようなもの。特に損益計算書や貸借対照表がポイントです。上場企業は、決算期末から45日以内に発表するルールがあります。
【使い方のポイント】
数字の変化を見ることで、業績が良くなっているか、悪くなっているかをつかみます。企業を取り巻く市場環境など定性面も押さえておきましょう。
【2】決算説明資料
決算短信だけではわかりにくい業績の理由や、今後の戦略などを図やグラフでわかりやすくまとめた資料です。企業が投資家向け説明会などで使うスライドがベースになっています。
決まったフォーマットがないため、企業の個性が現れます。また、企業が重要視している指標なども分かります。
【使い方のポイント】
業績がなぜ変わったのか、どの事業が好調なのかなどが分かります。短信とセットで見るのが基本です。
【3】中期経営計画資料(中計)
企業が3~5年先を見据えて掲げる売上や利益の目標、それに向けた経営戦略などをまとめたものです。公表は義務ではありませんが、多くの企業が定期的に発表します。
【使い方のポイント】
会社の「将来の姿」が分かります。長期的に成長できるかを見極める材料になります。最近は、中計で意欲的な目標を出すと株が買われるといったこともしばしばあります。