桐谷広人さんによると、いま魅力的な「5万円株」が増えているという(時事通信フォト)
2025年8月には日経平均株価が史上最高値を更新するなど、日本の株式市場が勢いづいている。活況を取り戻した背景には海外投資家の積極的な買いの流入もあり、大型株を中心に幅広く買われているが、株価があまり上昇していない「出遅れ銘柄」「見逃され銘柄」も存在する。
投資の達人たちに聞くと、投資初心者でも始めやすい「5万円台以下で買える有望株」は多くあり、「今がチャンス」という。「株主優待の桐谷さん」として知られる投資家でプロ棋士の桐谷広人氏もその1人。最低投資金額が5万円台までの少額で買える株主優待株の魅力、銘柄の選び方、投資法について桐谷氏が解説する。
相場の浮き沈みを経験した末の株主優待投資
バブル景気前夜の1984年に株式投資を始め、バブル崩壊、ITバブル崩壊、ライブドア・ショック、サブプライム・ショック、リーマン・ショックと様々な相場の危機を経験してきた桐谷氏。相場の荒波に長年もまれた末にたどり着いたのが株主優待投資だった。そんな桐谷氏が「5万円台以下で買える株主優待株」の魅力を説明する。
「5万円台以下の優待株は安く買えて、分散投資もしやすいのが魅力的です。たとえば20万円の資金があるなら、最低投資金額20万円ほどの株を1銘柄だけ買って優待品をもらうよりも、平均4万円の株を5銘柄買って5社から優待品をもらうほうがリスクは小さくなります。様々な優待品を手にできるのも魅力です。
5つの会社のなかで株価が下がる社が出てきたり、業績悪化で優待を廃止したりする社もあるかもしれませんが、5社分を保有していれば株価が上がる社が出てくる可能性もあり、他の銘柄での損失をカバーできる場合もあります。全額を1社だけに投資する場合、その株価が上がっていけばいいですが、どうしようもなく下がった場合は本当にどうしようもなくなります。株主優待目的であっても分散投資は重要です」(桐谷氏。以下、「」内、同じ)
魅力的な「5万円株」が増えている
桐谷さんによると、近年、5万円台以下で買える魅力的な「5万円株」が増えているという。
「たとえばNTT(東証プライム・9432)は2023年7月に1株を25株に分割し、100株(1単元)を1万円台半ばぐらいで買えるようになりました。株主優待(2年以上の保有でdポイントが1500ポイントなど)に加えて配当ももらえます。ソフトバンク(東証プライム・9434)は2024年10月に1株を10株に分割し、100株を2万円台で買えるようになった。こちらも株主優待(1年以上の保有でPayPayマネーライト1000円分)と配当を受け取ることができます。このように1万~2万円台の少額で投資できる優待株もあるので、資金20万円で計10銘柄の優待株を買って分散投資することもできるわけです。10社から優待品が届き、すべて配当がある銘柄にすれば10社から配当金ももらえます」