1500億円集めて手つかず
そんな共生バンクグループの数ある投資事業のなかでも、会長の柳瀬が最も熱を入れてきた事業が、冒頭の「シリーズ成田」なるプロジェクトである。正式名称は「共生日本ゲートウェイ成田」構想。柳瀬は開発面積46万平米、東京ドームが10個分の広大な敷地に、高級ホテルやショッピングモール、劇場や国際展示場などを建設する計画を立てる。成田国際空港の滑走路から目と鼻の先にある未開発の土地に、壮大な街を出現させると投資家を募ってきた。
2021年2月から想定利回り年7%の「シリーズ成田」を売り出し、現在まで1号から18号までのファンドを販売。柳瀬は自著で「成田空港の隣に世界一の街を造る男」と題して大々的に開発を宣伝し、2024年3月までにおよそ1500億円もの投資を吸い寄せた。まさに夢のようなプロジェクトだ。
だがここへ来て、その配当がストップしたのだから、虎の子を吐き出した投資家たちの怒りは収まらない。そのための冒頭の説明動画なのだが、共生グループの関係者は冷ややかだ。
「今度の説明は7月末の配当停止を受け、柳瀬さんがやむなく開いたものです。7月の遅配は18号まであるファンドのうちの奇数号ファンドのそれでした。シリーズ成田は過去、募ってきた商品の最後っ屁のような形で2000億円の出資を募ろうとしたわけですが、肝心の開発はほとんど手つかずのまま。危機が囁かれてきました。その危機が一挙に噴き出した印象です」
たとえばシリーズ成田1号は20億円を調達し、これまでは2か月に一度の配当が滞りなく投資家に届けられてきた。その償還期限が来年1月に迫るなか、今春から資金ショートが囁かれてきたのである。そしてついに7月31日の配当ストップ──。投資家には次のようなメールが送られた。
〈今回の事態は、上記対象商品の不動産を賃貸しているテナント、すなわち「共生日本ゲートウェイ成田プロジェクト」(以下「成田PJ」といいます。)を推進する事業法人から(中略)本年4月分以降の賃料が支払われていないことに起因いたします〉
共生バンクでは、成田PJの土地を開発業者に貸し、その家賃を収益として配当してきたとする。その家賃が入らなかったから配当できなかったとの言い分だ。一見すると、単なる大家と店子の家賃トラブルのように伝えているが、メールはその成田PJについて、こうも記している。
〈当該テナントと弊社との間には、商品概要・重要事項説明書でご説明申し上げております通り、グループ内での資本関係がございます〉
何のことはない。つまり、みんなで大家さんで金を集めて土地を買い、グループ企業にそれを貸して家賃収入を得てきただけだ。グループの中でグルっと金を回しているだけで、配当の原資となる収益が出るわけがない。
駐車場経営などなら別だが、賃貸マンション経営にしろ、都市開発事業にしろ、不動産収益は本来、上物がなければ収益はあがらない。にもかかわらず、当該の成田プロジェクトで計画された建物はいまだ何もなく、間もなく最初の償還期限を迎えるのである。