行政処分を逆手に釈明
もっとも共生バンクは、同じメールで配当ストップの原因が別にあるかのように弁明する。
〈背景といたしまして昨年6月に公表されました行政処分により、グループ全体の事業環境に予期しなかった影響が生じ、テナントにおいて事業遂行に必要な資金確保が計画通りに進まず……〉
行政処分とは、みんなで大家さんと都市綜研インベストに対する東京都と大阪府の業務停止命令を指す。行政処分を受けた事実を逆手にとってこう言い訳しているのだ。配当がストップすると、投資家の怒りの矛先はこれらの自治体にも向いた。所管する大阪府都市整備部に聞くと、こう話す。
「配当予定日が7月31日木曜日だったので、金曜日まではさほどではありませんでしたが、週が明けてから連日、電話が鳴りました。『共生バンクに電話しても出ない、どうなっているんだ』とか『そもそも大阪府が事業許可を下ろしたのが間違いではないか』とか、さまざまです。
私どもとしては法律に基づいて書類を審査し、事業許可を出しました。ただ、事業実態について調査する権限はなく、現段階では大家と店子の家賃トラブルとして静観する以外にないのです」(建築振興課)
共生バンクの焦りは明らかだ。説明動画を見ても柳瀬自身、不安の色を隠せない。次の配当を死守すると繰り返すばかり。
「配当原資につきましては、債券の発行などを検討しております」
債券発行は借金にほかならない。投資の配当や2000億円規模の償還資金を融通してくれるところがあるだろうか。
「倒産の危機を言う方がいらっしゃいますけれど、ありえません」
柳瀬は動画でそう強がるが、根拠も乏しい。この間、共生バンクでは千葉県のテナントビルを売りに出したが、なかなか買い手がつかなかった。挙句、遠くアフリカ・エチオピアの油田開発計画まで触手を伸ばしたが、それも実現する見込みは立っていない。
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マネーポストWEBの関連記事『【追及スクープ】不動産投資「みんなで大家さん」配当ストップの裏で何が起きていたのか?杜撰な計画の裏側を暴く内部資料《3万人超から集めた2000億円はどこへ》』では、「みんなで大家さん」配当ストップの裏側を暴く“内部資料”の存在や関係者の証言などを詳細に紹介している。
【プロフィール】
森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ ─「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『菅義偉の正体』、『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』など著書多数。
※週刊ポスト2025年9月12日号