金融業界にも年収増加が目立つ企業が(イメージ)
物価の上昇に賃金の伸びが追いつかない企業が多い一方、一部では数年で給与水準を飛躍的に向上させた企業も存在する。本誌『週刊ポスト』は東京商工リサーチ協力のもと、2024年度の全上場企業(3867社)の有価証券報告書から社員の平均給与を調査。2019年度と比較し、5年前からの「増額幅」が大きいトップ150社のランキングを作成した。
「年収が急上昇した企業」のランキングを見ることで、従来の日本企業の力関係が大きく変化し、現在のビジネスの最前線で起きている地殻変動を見ることができる──。
603万円増の三井物産(12位)や401万円増の三菱商事(29位)などの大手総合商社、半導体関連のディスコ(726万円増、10位)、レーザーテック(500万円増、15位)などが上位に並ぶ。
「商社や海運などは円安や資源高による好業績に加え、年功序列の賃金から業績連動の給与体系に切り替えが進んでいることが見て取れる。AI需要の急激な高まりによる半導体バブルの恩恵が、研磨装置のディスコや検査・計測装置のレーザーテックに及んでいることも窺えます」(経済ジャーナリストの森岡英樹氏)
一方、好景気に沸く大企業を差し置いて1位になったのは光通信で、増額幅は「1598万円」に達した。
「連結では約3900人の従業員がいますが、単体では2人。単体での従業員数を減らす経営判断に伴い、平均給与の数字が増えた格好」だという。
上位に入ったのは業界大手としてよく耳にする企業ばかりではない。