iDeCoの改正の注目ポイントは
老後資金の準備手段として知られる「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」が、2025年の制度改正により、大きく変わる。なかでも注目されているのが「掛け金の上限アップ」と「加入可能年齢の延長」だ。施行時期は未確定だが、2026年からの施行も想定されている。この制度改正を受けてiDeCoをどのように活用したらいいのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第157回は、「iDeCoの掛け金増額」について。
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老後資金の準備手段として知られる「iDeCo(イデコ)」が、大きく制度改正されます。なかでも注目されているのが「掛け金の上限アップ」と「加入可能年齢の延長」です。今回の変更で影響を受ける人、またNISAとiDeCoを比較してiDeCoを優先すべき人について考察します。
何が変わる?iDeCo制度改正のポイント
今回の改正で、まず注目すべきは「掛け金の上限」が大きく引き上げられることです。たとえば、自営業者や学生など(第1号被保険者)は、これまで月6万8000円までだった上限が7万5000円に。会社員や公務員(第2号被保険者)も、企業年金がない人はこれまでの2万3000円から最大6万2000円まで拠出できるようになります。
さらに、これまでは原則60歳未満(会社員は65歳未満)までしか加入できなかったiDeCoですが、今後は一定の条件を満たせば70歳未満まで加入が可能になります。働き続ける高齢者や、これから資産形成を始めたい人にとっても大きなチャンスです。
どんな人が恩恵を受ける?
今回の制度改正で大きなメリットを受けるのは、自営業者やフリーランス、企業年金のない会社員など。掛け金を多く拠出できることで、所得控除の額が増え、税負担を軽減できます。たとえば、年収500万円の会社員がiDeCoの掛け金を月2万3000円から6万2000円に増やすと、年間で10万円以上の税金が軽減されるケースもあります。企業年金がある人も、企業型DCなどとの調整は必要ですが、これまでより柔軟に拠出が可能になります。
また、60歳以降もiDeCoに加入できるようになることで、老後資金の追加準備をしたい高齢層にも新たな選択肢が生まれます。「もう老後資金を準備する時間がない」とあきらめていた人も、まだ間に合うかもしれません。