映画館といえばポップコーンを思い浮かべる人は多い(イメージ)
映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が記録的なヒットとなっている。上映時間が155分と比較的長いこともあって、劇場の売店にはポップコーンやドリンクを購入するために長蛇の列が発生。ネット上では、〈常に売店は行列状態〉と、なかなか買えないという声も散見される。
なかには、ポップコーンが売り切れになる劇場も。空前の“鬼滅フィーバー”に従業員も大忙しだが、映画館側にとっては“嬉しい悲鳴”だという。というのも、ポップコーンなどの商品は収益の“重要な柱”になるからだ。
ところで、なぜ映画館で売っている食べ物といえば“ポップコーン”なのだろうか。その理由を、映画ライターとして25年以上活動する和田隆氏の著書『映画ビジネス』より紐解いていく。(同書より一部抜粋して再構成)【全3回中の第2回。第1回から読む】
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映画館で食べるものはと言えば?「ポップコーン」と答える人が多いと思います。でも、なぜ映画館でポップコーンが食べられるようになったのでしょうか。
理由は諸説あるようですが、まず機能面では、食べる時に音が出にくく、映画を見ながら片手で食べられるから、というのが主な理由のようです。また、原価が安くて、映画館の重要な利益源になっているというコスト面も販売される大きな理由となっています。
さらに調べてみたところ、ニューヨークのニュースクール大学で食物学を教えるかたわら、食べ物や料理の歴史に関する書籍や記事を執筆しているアンドルー・F・スミス氏の『ポップコーン文化:A Social History of Popcorn in America(原題)』にある説によると、ポップコーンは南米から帰国した米国人航海士らによって19世紀前半にニューイングランドに持ち込まれたとのこと。そして、ポップコーンを作る器具が発明されると、たちまち人気となり、その後数十年間にわたってサーカスや街角でポップコーン売りが急増し、商業化も進んで、ポップコーンは劇場や球場の定番となっていったとしています。