我々の身近にある「米国産食品」(写真:イメージマート)
日本の衛生基準に反する「危ない米国産食品」の実態を明らかにした本誌・週刊ポスト前号の特集は大きな反響があった。では、違反事例が相次ぐ米国産食品はどのような形で消費者に届くのか。厚労省が公表する「輸入食品等の食品衛生法違反事例」の過去5年分(2020年4月~2025年3月末)から、違反件数の多い食品の主な用途を追跡した。
パンの原材料表示を見ても米国産小麦とはわからない
日本が約9割を輸入に頼る小麦は米国産がカナダに次ぐ2位の38.5%となっており、カビの発生や異臭、腐敗など43件の違反事例があった。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行氏が指摘する。
「小麦の場合、パスタ用はカナダ産、うどんはオーストラリア産というように用途別に輸入元が異なることが多い。米国産小麦の主な用途はサンドイッチやトーストなどのパン製品全般とホットケーキなどの洋菓子類です」
だが、店頭に並ぶパンの原材料表示を見ても米国産小麦とはわからない。食品問題に詳しい消費者問題研究所代表の垣田達哉氏はこう指摘する。
「海外産の小麦を国内の工場で小麦粉に加工してパンを作れば、原材料表示は『小麦(国内製造)』で済む。『国産小麦』をうたっていない場合は米国産小麦の可能性があります」
うるち精米でも、カビの発生、異臭、腐敗の違反事例が37件(「破砕したうるち精米、その他のうるち精米」を含む)判明。
「カリフォルニア州オリジナルの『カルローズ米』をはじめ、中粒で粘りけが少ないのが米国産米の特徴です。昨今のコメ高騰のなか注目を浴びており、牛丼商品などで使われているケースも多い。おにぎりなどの米飯類、清酒などでも使用されています」(同前)