冷凍の豚肉から検出された糞便系の大腸菌
日本食に欠かせない大豆はカビの発生や異臭、腐敗など7件の違反事例が報告された。農水省の2025年4月付資料『大豆をめぐる事情』によると、現在、豆腐の71%、納豆の75%、味噌の86%、醤油の97%が輸入大豆を使用したものだ。
「日本の輸入大豆の65%が米国産です。豆腐、納豆、味噌の多くで米国産の大豆が使用されています」(同前)
食肉製品でも冷凍の豚肉(加熱後包装)などで違反事例が3件あり、「E.coli」が検出された。E.coliはO-157など糞便系の大腸菌の総称で、食中毒を引き起こして死に至らしめることもある。
「一般的に米国産の豚肉はハムやベーコン、ハンバーグなどで使用されています。加熱調理が不十分な豚ひき肉製品などから大腸菌が検出された事例もあります」(同前)
5月8日には、カルディが販売する米国産生ハムの一部からサルモネラ属菌が検出され、回収する騒ぎがあった。
同社の発表によれば、製造会社(横浜市)が保健所の検査を受けた際に商品からサルモネラ属菌が検出され、販売中止と自主回収を行なったという(カルディに聞くと、「この度のご取材は辞退させていただきたく存じます」と回答)。
今回は違反事例件数が複数あったものをリスト化したが、もちろんここに挙げた食品がすべて危険というわけではない。あくまでもリスクを知るための指標として参考にしてほしい。
米国は日本にとって最大の食品輸入相手国であり、我々の食は米国産抜きには成り立たない。だからこそ、安全とリスクについて正しい知識を持って向き合うことが必要だ。
関連記事《「知らずに食べている?」食品衛生法の違反事例が多い「米国産食品」が使われているメニュー一覧 ミックスナッツ、チョコレート、ポップコーン、豆腐、納豆、味噌にも》では、これらの他にも、違反件数が際立って多い生鮮アーモンドや、次に多いとうもろこしなど、米国産食品の用途についてレポート。2020年4月から2025年3月までに判明した違反事例の多い米国産輸入食品が主に使われるメニューについて、一覧表で紹介している。
※週刊ポスト2025年5月30日号