米カリフォルニア州にあるスタンフォード大キャンパス(EPA=時事)
文部科学省が隔年で実施する調査によると、2023年度、日本の高校から海外大に現役進学したのは1635人だった(2021年度比211人増)。実際に海外大を目指すとなったら、何をどう調べ、どう準備したらいいのか。フリーライターの清水典之氏が、海外大進学にかかる費用や入試の方式、教育内容や現地での生活、卒業後の進路などについて識者に取材。本記事では、海外大進学に向けた準備や入試の実情についてレポートする。
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「海外大への進学」は日本の大学と何がどう違うのか
日本の高校などから直接海外の大学に進学するケースは、コロナ禍で激減したが、ここ数年増加し、以前の水準に戻りつつある。海外生活の経験のある帰国子女やその保護者なら、海外大への進学は視野に入っていても不思議ではない。しかし、周囲に留学・進学の経験者がいないと、おそらく、海外大に進学するとはどういうことなのか、想像もつかないという人が多いのではないか。
そこで、海外大学・大学院への進学をサポートする予備校、アゴス・ジャパンでディレクターを務める松永みどり氏に、海外大進学のイロハを聞いた。海外、特にアメリカやイギリスの大学に進学するのと、日本の大学に進学するのでは、何がどう違うのか。
「あまりにも違いが多岐にわたるので答えるのが難しい質問ですが、ざっくり言えば、英語しか通じない、外国人に囲まれた環境で学ぶので、大変な労力がかかります。しかも大人数の講演型の授業ではなく、25人くらいの小規模なクラスで、論理的に議論をする授業が多い。講義中に気を抜く暇はなく、ディスカッション能力が鍛えられます。
専攻分野の学び方も違っています。たとえば、AIの研究がしたいと考えたときに、縦割りの日本の大学では、工学部に入って研究するのが一般的です。でもアメリカの大学でAIのディープラーニングを学ぶという場合、人間が物事をどう学習するかを知るために、発達心理学や言語学、教育学など文理にまたがって自由に選択領域を選べるのが魅力だと思います」(松永氏・以下同)