チケット代を返してほしい…(イラスト/大野文彰)
コンサートやスポーツイベントなどのチケットの不正転売や転売目的での入手を禁止する「チケット不正転売禁止法」が2019年に施行されたが、それでもなおネット上ではチケットの不正転売が行われている。転売サイトで入手したチケットでの入場が拒否されるというケースも珍しくなく、転売業者はもちろん、転売チケットの購入者の倫理も問われている。一方で、転売サイトで購入したチケットで入場が拒否された場合、その料金はどうなるのだろうか。単純に購入者が負担して終わりなのか。それとも購入者が転売サイトに返金を求めることはできるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
推し活が趣味です。推しのライブチケットが当たらなかったため、転売サイトとは気づかずに高額なチケットを購入しました。ところが、ライブ当日、そのチケットでは入場ができませんでした。転売サイトに連絡をしましたが音信不通です。転売サイトにチケット代を返してもらうことはできないのでしょうか。(埼玉県・40才・主婦)
【回答】
あなたが買ったチケットには有償譲渡禁止の表示があると思います。映画、音楽などの芸術やスポーツなどの入場券で、興行主が同意しない有償譲渡を禁止する旨が明示され、座席指定等がされたチケット(特定興行入場券)を不正転売等することは「チケット不正転売禁止法」によって禁止されています。
「不正転売」とは、興行主の事前同意なく特定興行入場券を営利目的で、あるいは反復して、正規の販売価格を超える価格で転売する行為です。不正転売目的での譲受も禁じられ、共に1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金又はその両方で処罰されます。
特定興行入場券の転売は、興行主が入場を認める条件の違反ですから、あなたのように入場を拒否されることがあります。