ホール店員による情報漏洩への対応が厳しくなっている事情とは(イメージ。Getty Images)
多くのパチスロ機には、各台の出玉率を調整するための「設定」という機能がある。設定は最大6段階で、基本的に設定1が最も出玉率が低く、数字が大きくなるほど出玉率が高くなる。出玉率が高ければユーザーが勝つ可能性が高くなるので、多くのパチスロユーザーは設定6を探し当てようとして台選びをするわけだが、どの台にどの設定が入っているかは不明だ。ホール側は高設定台でユーザーに還元しつつ、低設定台で利益を確保するべく、より集客につながるような設定配分をしている。だからこそ設定情報はホールにおいてトップシークレットであるはずだが、その設定情報が漏洩する事件は少なくない。
今年9月、常連客にパチスロの設定情報を教えたとして、宮崎県内のパチンコ店従業員と常連客が不正競争防止法違反の疑いで逮捕された。容疑者が勤務するパチンコ店から警察に「従業員が客に設定情報を教えているかもしれない」と相談があり、事件が発覚したという。
また、今年7月にも北海道のパチスロ店において、元従業員が店の設定情報を常連客に漏らしたとして元従業員と常連客が不正競争防止法違反の疑いで逮捕されている。こちらも宮崎県の事件と同様、パチスロ店から警察に情報漏洩に関する相談があり、逮捕に至った。
パチスロの設定情報漏洩事件について、パチンコ・パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう話す。
「ホールでのパチスロの設定情報を把握しているのは、当然ながら店長や副店長レベルなど従業員の中でもごく一部。一方で、ホールの店員が常連客に設定情報を教えるという事件は、以前からある話です。単純に店員が友人や知り合いに高設定台を教えていたというケースもあれば、“軍団”と呼ばれるプロ集団に設定情報を流し、その軍団から店員が報酬を受けるケースもあったようです。
パチスロの高設定台はユーザーへのサービスであり、集客のための“餌”でもあるので、その高設定台が情報を得た一部の人に占領されては、ホールとしては意味がない。だからこそ、ホールも高設定台を同じ客が打っていないか目を光らせており、不審な点があったら警察にも相談する流れです」
高設定は魅力的だが…(イメージ)
近年はホールの設定情報に対する扱いがよりいっそう厳しくなっているという。
「20年ほど前はホール側が“イベント”として、設定を公開することもありました。私自身、朝イチから設定6の札が刺さっている台があったり、夕方になって店長が、店内アナウンスで高設定が入っている台を明かすイベントも体験したことがあります。ただ、現在は設定を明かすような行為は、射幸性を煽るということで禁止対象。ホール側が明確に設定配分に言及するようなイベントは基本的に行われていません。そもそも設定を開示すること自体がNGで、設定情報は極秘です。だからこそ、情報漏洩があった際はバレやすくなっているとも言えます」(藤井氏)