FIREで悠々自適な生活に憧れる人は多いが……(写真:イメージマート)
本業の仕事と3人の子育てで多忙ななか運用資産を順調に増やしてきた兼業投資家、テンバガー投資家X氏。5年8か月で運用資産561万円を10億円に増やした同氏だが、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を考えたことはないという。平均的な一般人ならば生涯年収分以上を投資で手に入れたら、仕事を辞めて悠々自適な生活をしてしまいそうだが、株式投資の心得として「本業の仕事は安易に手放さないこと」が重要と語る。本業の仕事を辞めるリスクについて同氏が解説する。
10倍株も達成したテンバガー投資家X氏が株式投資で成果を上げられる手法を説いた著書『トイレスマホで「無限10倍株」3年9カ月で5975万円を稼いだ投資術』(KADOKAWA)より一部抜粋・再構成して紹介する。
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個人投資家の中には、投資で稼いで仕事を辞めるFIRE(早期リタイア、Financial Independence, Retire Early)を夢見ている人もいるかもしれません。それ自体は悪いことではないと思うのですが、ちょっと心配になるような人がいます。
具体的には、株式投資がうまくいって1年で1000万円稼いだような人が、これからも株で稼ぎ続けられると思って仕事を辞めてしまうようなケースです。現実として投資の成果には波があり、今年1000万円の利益を出せた人であっても、来年も同じようにできるとは限りません。むしろ、本業の収入がなくなったことで心に余裕がなくなって、冷静な投資判断ができなくなる恐れがあるのではないでしょうか。
仕事を辞めるなら、最低でも自分が定年まで働いて稼げるはずの生涯年収分ぐらいは用意してからでないと、安全とはいえません。僕自身、累計の株の利益が2億や3億になっても、それぐらいで仕事を辞めるなんてとても考えられません。10億ぐらいつくれたら、そのときやっと考え始めるぐらいの気持ちでいるので、当面は仕事をしながらでも続けられる投資法を実践することが重要だと考えています。