有力候補のひとり、小泉進次郎・農相は農業改革に力を入れていくと見られる(時事通信フォト)
「自民党総裁選になると株価が上がる」──市場関係者によく知られたアノマリー(経験則)だ。
過去3回の総裁選を見ても、首相の退陣表明から総裁選投開票日までの期間中、日経平均株価は上昇したが、今回はとくにそれが顕著だ。
株価が急騰を始めたのは自民党両院議員総会で“石破リコール”、つまり臨時総裁選を実施するかどうかの要求確認手続き開始が決まった9月2日、それからわずか4日間で約1000円上昇。9月7日に石破首相が退陣を表明し総裁選の実施が決まると、その後1週間でさらに約1750円も上がって日経平均株価は史上最高値を更新した。10営業日で約2750円もの急騰である。
「誰が選ばれても株価上昇が期待できる」
9月22日の告示から10月4日の総裁選投開票日までにさらなる上昇も期待されているが、総裁選が終われば株価上昇は天井を打つのか、その先も上がるのかという相場の流れは、誰が勝利するかで変わってくる。
過去には、「アベノミクスの継承」を掲げた菅義偉・元首相が勝利した後は株価上昇が続き、「聞く力」を強調した岸田文雄・前首相の登場後は株価が下がり、「日本の未来を守り抜く」と表明した石破首相の就任後の株価は一進一退だった。
今回の総裁選には高市早苗・前経済安保相、小泉進次郎・農相、林芳正・官房長官、茂木敏充・前幹事長、小林鷹之・元経済安保相の5人が立候補している。だが、元日本証券新聞社社長でマーケットアドバイザーの天野秀夫氏は、これまでと大きく違うのは、「誰が総裁に選ばれても、その先も株価上昇が期待できる」ことだという。
「自公政権が衆参で過半数割れしている政治状況では、誰が総理・総裁になったとしても、野党の協力を得なければ国会運営はできません。その野党側は減税など物価高対策やトランプ関税対策を強く要求している。誰が選ばれるかでどの政策に重点を置くか多少の違いはあるにしても、経済対策に本腰を入れて取り組まざるを得ない。日本経済、株価にプラスになる政策が取られるのは間違いない。市場では総裁選が終わった後も、株価は上昇傾向が続くとの期待も大きい」(天野氏)
そうした期待の大きさが史上最高値更新につながっているのだ。投開票日に高値をつける見通しなら、天井が近いと様子見する選択もあるかもしれないが、その後の上昇も期待できる以上は、「総裁選投開票までの短期間でいかに仕込めるか、という話になってくる」(同前)わけだ。