年長者が奢るべきか、割り勘にすべきか、逡巡が続く(イメージ)
飲み会や会食の支払いは、同じような年齢・立場の人同士であれば“割り勘”になることが多いだろうが、様々な年齢・立場の人が集まると、「誰がどのように支払うのか」が問題になる。特に自分が年長者の場合、「奢る基準」はどうやって決めればよいのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、自身の経験と考え方を紹介しつつ、40代・50代の人たちの「奢る基準」をヒアリング、レポートする。
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私は32歳のときに、某ネットニュースの編集長的ポジションになったため、数多くのライターを雇うことになりました。その際に打ち合わせも兼ねた飲み会もやるわけですが、学生ライターには、当然私が奢ります。「キャバクラって行ったことないんで行きたいんですよ~」と言われた時は「5人もいるのかよ…。一人最低6000円だから4万円は必要だな。もしかしたら勝手にフルーツ盛り頼むヤツがいるかもしれないから7万円は持って行くか」なんて思ったものです。
その頃、同世代・年下フリーランスの雑誌契約ライターにも記事を書いてもらっていました。彼らに対する私の編集方針は「基本は、書きたい記事を書いてもらって構わない」というスタンスでした。すると、彼らは「雑誌だと企画が通らないので、ネットだと自由に書けて嬉しいです! これでおカネ貰えるなんて幸せです」と言ってくれました。そうした経緯もあって、彼らとの飲み会では割り勘でした。
ところが、ある時、40代後半の雑誌ライターから飲みに誘われた時、割り勘にしたことが「奢る判断」というものの基準の難しさに気付くきっかけになりました。彼は私と飲んだ後、ブログにこのように書いたのです。
〈ネットニュースの仕事も開始したが、ネットの世界というものは我々の常識が通用しない。普通、編集者が飲み代は全部経費にして出すものだろう。正直私よりも15歳ほど若い編集長が飲み代を出さなかったのには困惑した〉
まぁ、言いたいことは分かります。一流出版社の若い編集者だったら著者との打ち合わせも兼ねた飲み会で会社に経費をつけることはできるでしょうが、こちらはあくまでもあなたと同じフリーランスの立場なんですよ。毎月決まった額をもらい、それで原稿料を支払っているわけで、私が奢ったらそれ全部私のポケットマネーなのですが……。