高PBR銘柄の投資のポイントをどう考えるか
日経平均株価が4万5000円を突破するなど堅調の株式市場を牽引した銘柄の一つが、導体検査装置の世界大手であるアドバンテストだ。アドバンテストはPBR(株価純資産倍率)が高い水準にあり、割高と見られてきたが、株価を大きく伸ばしてきた。今回は、「高PBR銘柄の投資のポイント」について、億り人投資家で経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
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株式市場では近年、「PBR(株価純資産倍率)」が投資家の注目を集めている。東京証券取引所が上場企業に対し「資本効率の改善」を促す、いわゆる「PBR改革」を推進しており、PBR1倍割れの企業には改善要請が強まっている。こうした背景から「低PBR株は割安で見直し買いが入る」とする解説が増えているが、一方で「高PBRにもかかわらず、株価を大きく伸ばし続ける銘柄」が存在するのも事実だ。
今回は、PBRの考え方や、高PBRでも株価上昇を続ける代表的な銘柄を分析し、銘柄選択においてPBRの数値に囚われて投資機会を逃してしまうことのないよう、ポイントを考えていく。
PBRだけで株価の動きは判断できない
PBRは、株価を1株当たり純資産(BPS)で割った指標だ。一般に1倍を割り込むと「会社を清算した場合の価値よりも株価が低い」とされ、割安株とみなされやすい。
2023年以降、東証が企業に資本効率改善を求める改革を進め、前述のとおり「PBR1倍割れは改善対象」と明示。低PBR銘柄に資金が流れやすい環境となった。しかし市場を見渡せば、むしろPBRが数十倍にも達する企業の株価が右肩上がりで推移している例も目立つ。改めて確認したいことだが、PBRは簿価に示された数値であり、例えば以下のようなものは反映されない。
・高収益、高成長の期待
・ブランド力や知的財産(IP)に支えられ、競争優位性が強く、成長力がある
・参入障壁が高く、競合が限られている
・ROE(株主資本利益率)が高いなど、収益性が高く、資本効率が優れている
この観点で見たときに、「高い株価純資産倍率を正当化できるだけのストーリー」が存在するかどうかが投資判断の鍵となる。
それでは、高PBRの代表的な銘柄を取り上げ、直近決算とあわせて分析していく。