口当たりの軽い「キューバの太陽」
さっぱりしていて暑い日にぴったりのソルクバーノ
新橋さんはカクテルの国際的なコンクールでの優勝経験もある名人だが、タケちゃんもれっきとした日本チャンピオン。今日はタケちゃんカクテルを楽しむと決めれば、さて、次は何がいいか、楽しみも増す。隣のケンちゃんは、2杯目はこれと決めていたらしく、ソルクバーノを注文した。
「いいねえ、ソルクバーノ。キューバの太陽ね」
「はい?」
「ソルは太陽、クバーノはキューバの、の意」
「そうだったんですか。いい名前ですね。僕は若い頃にこの酒を教えられて、なんてうまいんだろうと思って、それ以来、ときどき頼むんですよ」
私は昨年、神戸の「サヴォイ北野坂」という名店で、このカクテルを考案した木村義久氏にお会いし、直接、1杯つくっていただいた。ホワイトラムに、グレープフルーツジュースとトニックウォーターを加えたシンプルなカクテルで、口当たりは軽く、とてもうまい。
血圧が高い私は、グレープフルーツジュースを飲むなという制限のついた降圧剤を服用しているので、その点、ちょっと気にかかる。なんでもグレープフルーツジュースの成分によって降圧剤が効きすぎてしまうことがあるらしく、そうなると、血圧が必要以上に低下してフラフラするから危険、ということらしい。だが、そんなの気にすることないですよ、という医師もいるから、私はあまり気にしないことにしている。そもそも、二日酔いでふらついている日が多い、私なのだ。
そんなことはどうでもいい。タケちゃんに頼む私の2杯目はギムレットにした。さっきと同様、ジンベースの、今度はショートカクテルで、スタンダード中のスタンダードだ。
ギムレットには氷がひとつ浮かぶ
これも、いい。小さな氷がひとつ入るのは、新橋さんが勤めた「銀座テンダー」のやり方を踏襲しているのだ。氷が入ることで冷たさが維持されるのだが、強めのシェークでよく冷やしているから氷がすぐに溶けて薄くなるようなことはない。ショートだが、ひと息に飲みたくなるから、困ったものだ。