暑い日はビールに限る!
お酒はいつ飲んでもいいものだが、昼から飲むお酒にはまた格別の味わいがある――。ライター・作家の大竹聡氏が、昼飲みの魅力と醍醐味を綴る連載コラム「昼酒御免!」。連載第14回は酷暑でからからの喉を潤すために、日本最古のビヤホールを訪ねた。【連載第14回】
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暑い。やってられない!
そんな昼下がりは、ビールに限る。どこで飲むか。居酒屋でも蕎麦屋でも、なんなら自宅でもいい。暑熱極まる昼下がりにキューッとビールをやることは至極当たり前の生理的欲求であり、夏の最大の楽しみでもあると、断言したい。
この7月某日の昼。空を見上げ、額の汗を拭いながら、私はそんなことを思い、思いついてしまったがために、仕事の手を止めた。
そうだ、ビール飲みにいこう……。
足を向けたのは、東京南西部の自宅から私鉄と地下鉄を乗り継いで1時間半近くをかけてやっとたどり着く、はるかなる場所。銀座7丁目のビヤホールライオンを目指したのである。ここは、何度来てもいいなあと思わせる。広いフロアは天井が高く、壁はレンガ調のタイルで、店の奥にはガラスモザイクの大壁画がある。豪壮な教会の中に足を踏み込んだ錯覚を覚えるのは毎度のことだ。ヨーロッパのビアレストランを思わせる華麗な空間は、ランチタイムからの通し営業だ。つまり、昼下がりのビールを楽しめる。
さっそく頼むのはエビスの生。いつものように飲み友ケンちゃんと乾杯のご発声は、
「昼酒、御免!」
である。
華麗な空間が気分を盛りあげてくれる