インフレ(物価上昇)が家計を圧迫するなか、預貯金と年金収入だけに頼ると資産はどんどん目減りしてしまう。それを避けるために余った現金を投資に回して、資産を増やしていきたいと考える人も増えているだろう。しかし、投資とは100%儲かるものではない。特に給与収入がなくなる定年後世代の場合、限られた老後資産が減ってしまうリスクは極力避けて、堅実な投資手法を実践する必要がある。
ニュージーランド在住の個人投資家・成長株テリー氏に、60代以上で投資を始める人が実践すべき投資の種類や方向性、注目する個別銘柄について聞いた。
成長株テリー氏はそのハンドルネームが示す通り、ボラティリティ(価格変動率)が高い成長株への投資で資産を築いてきたが、定年後世代にはあまりお勧めできないという。
「成長株はボラティリティが大きい分、売買のタイミングが難しく、株価が一気に40~50%下がるなんてこともザラにある。それに、ずっと企業の業績や値動きに目を光らせていなければならないので、投資の知識や経験があまりない人にはハードルが高いと思います。仮に成功して大きく儲けたところで、人生の終盤で使い切れるかわからず、死んだら相続税でドサッと持っていかれてしまう。実は私自身、60歳を過ぎた近年は、成長株投資は面倒なのでやらなくなりました。
それよりも、今だったらトランプ大統領の政策など、株価を動かす分かりやすい材料があるので、そうしたテーマに沿った『割安な大型株』を買ったほうがずっといい。たとえばトランプ大統領はアラスカの資源開発に本腰を入れているので、資源関連の大型株を割安な時に買って持っておけば成長株よりも確実ですし、値上がりも期待できるでしょう。“取れるところで簡単に取る”というやり方が一番いいと思います」(成長株テリー氏、以下同)
時価総額や流動性が大きい「大型株」というのがポイントだ。
「大型株であれば業績や配当が安定しており、倒産するリスクも低い。多少株価が下がったところで持ち直す可能性も高いため、慌てて損切りをする必要もありません。逆に中長期的な好材料がある大型株であれば、株価が下がった時に買い増しをして平均購入単価を下げる『ナンピン買い』を検討してもいいでしょう」
そんな成長株テリー氏が注目する個別銘柄を挙げてもらった。