村山氏が言う。
「携帯電話などの通信契約は特に解約手続きが煩雑な傾向にあります。多くのサービスがIDやパスワードで本人確認を担保しているため、それらが不明で代理人が手続きをするとなると、途端に“壁”に直面することが少なくありません。パソコンやスマホのログインパスワードを前もって家族が共有しておくことが重要です」
東京国際司法書士事務所の代表司法書士、鈴木敏弘氏もこう指摘する。
「近年は、音声ガイダンスや機械的なメール対応で各種手続きを進める企業が増えています。ようやくオペレーターに繋がっても、契約者本人でないことを理由に話が堂々巡りになることもある。そうした面倒を回避するため、あらかじめメールや書面で事情を説明し、本人の解約意思を伝えておくと、幾分、話が通りやすくなるはずです」
A氏が盲点だったというのがNHK受信契約の解除だ。
「コールセンターに経緯を説明すると、入居先の名称や住所のほか、『施設へのテレビの持ち込みの有無』まで細かく問われました。聞けば、特別養護老人ホームと異なり、一般の有料ホームは受信料免除の対象外だという。さんざん時間をかけたのに、支払いが継続することになりました」
どうしてもNHK受信料の負担が重いという場合は、施設に入居する前に解約手続きをしておくこと。そのうえで地上波が映るテレビを持たないという徹底した対策が求められるという。
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※週刊ポスト2025年10月31日号