店頭に「冷コーあります」の掲示を見つけた
現場で息づいていた「レイコー」
しかし、「文字」としてではなく、「レイコー」を発語している現場に立ち会いたい。引き続き聞き込みを行うと、20年間キャバレーで働いているという女性・Bさんから、「天神橋のお店で店員さんが言っているのを聞いた」と有力な情報を得ることができた。
早速教えてもらった喫茶店に向かうと、店内は昔ながらと思しき木製の椅子と低いテーブルで、全席喫煙可能。たくさんの人がめくってきたのだろう、黄ばんだメニュー表が地元で愛された証拠として残っている。
さて本題の「レイコー」呼び。しかし注文時に自分の方から「レイコーください」とは言いづらい。恐る恐る「アイスコーヒーを2つお願いします」と女性の店員に注文を伝えると、その店員は厨房内に向けて、「レイコー2つ!」と呼びかけた。現場で息づく「レイコー」呼びに嬉しくなり、その店員さんに話を聞くことに。
この店員・Cさんは、20代後半。「店では『レイコー』で通じる」というが、そもそもCさんは「レイコー」呼びをしていたのか、客で、「レイコー」と口にする人はいるのか。
「私がこの店に来たときには、既に店内では『レイコー』だったので、スタッフとしてはそれで慣れちゃいました。店員同士はアイスコーヒーよりも『レイコー』の方が短くて済むので、言いやすいですしね。注文をする時に、『レイコー』と言う人がいるかというと、それは年配の方でも少ないですね。もちろん通じますが」(Cさん)
「レイコー」呼びは、店内での業界用語のように残っているということか。他の店員に話を聞いても、やはり客が「レイコーください」と言う場面は少ないとのこと。ちなみに「レイコー」を懐かしがるのは、「60代よりも上の世代」という体感だそうだ。
