生成AIからは出てこないビジネスアイデアをどう導き出すか(イメージ)
AI(人工知能)が劇的に進化しつつある中、AIにはできない「0から1」を生み出す「構想力」や「発想力」をいかにして身につけるか──。そのために経営コンサルタントの大前研一氏が提案しているのが、「もし私が○○だったら?」と仮定して今後の具体的な打ち手を考える「RTOCS(アールトックス/リアルタイム・オンライン・ケーススタディ)」という学習法だ。最新刊『RTOCS 他人の立場に立つ発想術』が話題の大前氏が、BBT(ビジネス・ブレークスルー)大学大学院で毎週実践している演習例を紹介する。
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今回は、BBT大学大学院で実際に取り上げたテーマを基に、RTOCSの例を簡単に紹介しよう。
たとえば、2021年2月に食品メーカーの「桃屋」を取り上げた。「もしあなたが桃屋の経営者だったらどうするか」。
同社は定番商品の「ごはんですよ!」「キムチの素」「味付メンマ」などをはじめ、「辛そうで辛くない少し辛いラー油」「きざみにんにく」など独自の瓶詰め食品が人気の老舗メーカーだが、非上場のため詳しい業績は公開されていない。
それでもネット検索すると、組織的な責任を持って運営されている決算公告サイトや新卒求人サイトなど、信頼してよさそうなウェブサイトから近年の売上高や純利益の情報は簡単に入手できる。
桃屋の売上高推移
これらの数字を見る限り、業績は比較的安定していて、新型コロナ禍や異常気象による原材料高が続く中でも、経営的には大きな問題がないように見える。
ところが、過去30年ぐらいの長期スパンで、1980年代末から最近までの業績をたどってみると、実は1991年の302億円をピークとして、その後は業績が下がっていく傾向にあることがわかる。
桃屋の商品別売上高推移
最近の業績が安定的に見えたのは、新商品の「食べる調味料」が好調だからで、それ以外の商品が伸びているわけではない。「海苔佃煮」や「液体調味料」など商品ジャンルごとに細かく見ていっても、ほぼ低調になっていることがわかる(図表参照)。


