これらの照会は、各金融機関に所定の届出書類等提出の必要があるので、まずはその確認から始まるため、照会結果が判明するまでに、かなりの手間と時間を要します。暗号資産を持っている可能性がある場合も同様です。暗号資産は暗号資産交換業者で購入し、業者で管理されているのが普通です。そこで暗号資産交換業者に対し、個人の暗号資産の有無や金額を照会することになります。金融庁の資料では、交換業者は全国で30社以上ありますが、無駄を覚悟の上、1社ずつ照会することも考えられます。しかし、国外の業者に管理させていた場合には、業者名と登録アカウントがわからなければ、事実上照会できないでしょう。
ともあれ、ロック解除禁止の遺言を無視しても、解除した相続人に相続させないなどの条件がなければ、格別の制裁はありません。
知られていない遺産や負債がわかるかもしれず、その意味では無駄な行為とは思いませんが、解除を試みるかは故人の遺志を尊重したいのかどうかといった、あなたの心の持ちようの問題です。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2025年12月12日号