みんなで大家さんの“成田プロジェクト”の変遷とは(「ゲートウェイ成田」完成イメージ図。ホームページより)
本誌『週刊ポスト』が追及してきた不動産投資商品「みんなで大家さん」。個人投資家から2000億円超を集めたものの、1000人超の出資者が返金を求め訴訟に踏み切る事態となっている。前号では、みんなで大家さん側トップが行政とのやりとりで「大企業との関係」をちらつかせていることがわかる資料の存在を報じたが、その文脈で名前が挙がったのは日本有数の大企業だった──。ノンフィクション作家・森功氏がレポートする。(敬称略)【全3回の第1回】
繰り返される言い訳
みんなで大家さんでは39あるファンドのうち34の配当が止まり、すでに事実上、経営が破綻している。にもかかわらず出資者たちには、300億円の債券発行という借金をして乗り切るかのような言い訳をしている。2000億円あまりの虎の子を吐き出してきた4万人の出資者の中に、そんな儚い希望を信じる御人がいるだろうか。
ファンドを売り出してきた共生バンクグループでは、これまでも似たような言い訳を繰り返してきた。代表の柳瀬健一(59)と大阪府とのやりとりを報じた前号の「内部議事録」でもそれが透けて見える。グループ最大の不動産開発「ゲートウェイ成田」構想が行き詰まると、柳瀬は「企業コンソーシアム」を結成して計画を見直すと言い出した。2022年から2024年にかけてのことである。
成田プロジェクトはもともと、安土桃山城を模したホテルをはじめとしたテーマパークのような壮大な街づくりの構想だった。それが一転、食品加工と物流の拠点にすると計画を変更。くだんの「内部議事録」では、大阪府にそれを説明している模様が記されている。大阪府庁で開かれた2023年3月23日の会議で、当の柳瀬が口火を切った。
〈(今日は)まず、成田プロジェクトの成果物を持ってきている〉
と変更プランを提示しながら、滔々とまくし立てる。
〈マスタープランを起こすにしても、「物流」と違い「加工」が入るため、かなり知見のある専門分野になる。その方々と協議を始めている。(中略)本来であれば、1月末に物流プランができて、そこで事業収支というのを出して、評価会社の方に出していただく準備をしている内容であったが、これが今止まっており、まさに、これから説明する新たなプランの事業計画を作っている段階である〉
物流とはいわゆる流通倉庫のことで、加工は食品加工を意味する。当初の柳瀬は物流よりむしろ食品加工にいたくこだわっていた。こう言った。
〈成田空港さんは大規模物流に関しては反対ではあったが、前の計画をしてくれるのであれば何でも協力するっていう言葉をいただいており、ここだけの話ではあるが、「地代」についても有利になるようにしていただけないかなど含めて相談している。(中略)それで空港公団と協力体制で、そしてこの食品加工をしていく〉
成田プロジェクトでは、共生バンクグループが約46万平方メートルの開発用地のうち、4割の19万平方メートルを成田国際空港会社(NAA)から賃借している。空港公団とは2004年4月に同社が民営化される前身の特殊法人だ。柳瀬にはまだ国交省が土地を管理している感覚があり、そう呼んだのであろうが、事実、空港トップは国交省の天下り先になっている。
