この時点で万事休すだったというほかない。計画変更に携わった企業に聞くと、一様に「企業コンソーシアムなんて知らないが、誘いは受けた。昨年6月の東京都や大阪府の行政処分があり、現在にいたるまでいっさい関係ない」と回答する(ブリヂストンは期限までに回答せず)。あわよくば、共生バンクの計画を安く買収しようとしたのかもしれないが、行政処分を皮切りにどこも撤退している。アドバイザリーフィーについては、受け取ったところもあれば、そうでないところもある。
共生バンクに問うと、複数の企業と事業計画を作成したことは認めるものの、詳細は「他社の営業秘密にも関連する」として何も答えない。
行政処分を巡っては、ここへ来て政官界の介入も取り沙汰されている。共生バンクは成田国際空港から開発用地の4割の土地を年間1800万円という格安で賃借している。だが、11月末で契約を終了することが報じられた。みんなで大家さん騒動はいよいよ最終局面を迎えそうだ。
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【プロフィール】
森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ──「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『菅義偉の正体』、『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』など著書多数。
※週刊ポスト2025年12月12日号