趣味は「お見合いおばさん」
――その意味では、高市早苗さんがガラスの天井をつきやぶったわけですね。それにしても絵本まで作ってしまうとは、「まだ、ここにない出会い」をつくるリクルートのDNAを感じますね。しかもリクルートは新しい出会いのみならず、日本の民間企業の中で最もガチで利益を追求する会社です。
伊藤:そう、ガチです。リクルートマーケティング局にいたとき、リクルートさんと組んで“何か”新規事業やりたいという方々とたくさんお会いしました。
デジタル・サイネージのベンチャー企業や、クラウドファンディングサイトの運営者など、技術やサービスを持っている人たちと、リクルートの“何か”をマッチングして、社会をよりよきものに、誰かをもっと幸せに、かつ初年度から黒字が出たらいいなぁと(笑)、いつも走り回っていました。
――さすが、仕事もプライベートも趣味が「お見合いおばさん」の伊藤さんですね。
伊藤:「お見合いおばさん」は相変わらずで、先日も、文科省の官僚が10年に1度の「学習指導要領改訂」の方向性について説明しに来てくれたのですが、AI時代の学力の定義に、デジタルパーツが圧倒的に足りないと思い、その場で、15年来の友人である川邊健太郎さん(LINEヤフー株式会社代表取締役会長、一般社団法人 日本IT団体連盟代表理事兼会長)にアポイントをとって、一緒に話を聞きに行って来ました。日本の官僚にはもっとフィールドワークをする時間が必要です。
――元リクの強みって、そういうところですよね。「空飛ぶクルマ」のベンチャー、スカイドライブの創業メンバーである元リクの宮内純枝さんは、リクルートで『じゃらん』をネット化するとき、出木場久征(リクルートホールディングス代表取締役社長)さんに「10年後もみんなが電話で美容院の予約をしていると思うか?」と言われて目から鱗だったそうです。そういう「未来を見通す人」と、その人を支えて「実務で未来を引き寄せる人」がリクルートには集まるのでしょう。
伊藤:Fantasy(自分がいつか到達したい場所)と、Must(自分が果たすべき役割)・Can(自分ができること)・Will(自分がやりたいこと)の関係性ですね。Fantasyを語る人はリクルートに限らず、どの会社にも結構います。そのふわっとしたものを「Will」として言語化し、そこから「Can」を見つけて、「Must」に爆速で落とし込む。この「ロジ周り」が何よりも大切です。今、話していて気付きましたが、私はリクルートでも国民民主党でも、目から鱗のFantasyを語る魅力的な上司のもとで「ロジ周り」に忙殺されています(笑)。