ガッチリとしたU字型フレームは乗り降りの時などにも足を引っかけたりするリスクが低減して安心。デザイン自体もスッキリとして街乗りにもフィット
「ちょっとしたお買い物の移動を楽にしたい」、「原付免許は所有していないが、モビリティ特有の自由が欲しい」などのニーズに応えた、魅力ある乗り物として「パナソニック サイクルテック」から登場したのが、特定小型原動機付自転車の「MU（エムユー）」。歴史あるサイクルメーカーが手掛けた新たな移動手段は、座ったまま走れるうえに、クルマやバイクより維持や手続きなどが簡単ということで注目度も高い。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は、自動車ライター佐藤篤司氏がこの新しいモビリティを試乗レポートする。
長年の自転車作りのノウハウがしっかりと詰まっている
｢特定小型原動機付自転車｣は、2023年7月1日の道路交通法改正で新設された車両区分です。16歳以上であれば免許不要で運転でき、原則は車道通行ですが、歩道通行モード（時速6kmに制限）に切り替え、最高速度表示灯を点滅させることで「特例特定小型原動機付自転車」として、例外的に歩道や路側帯（歩行者用路側帯を除く）を通行することができます（ただし、自転車通行が可能な道路標識または道路標示がある歩道に限られます）。昨今マナー違反が問題になっている電動キックボードなどでも、一定の基準を満たすものについては、この「特定小型原動機付自転車」と位置づけられます。
16歳以上であれば免許不要であり、乗車用ヘルメットの着用も努力義務ですが、自賠責保険への加入、ナンバープレートの取り付け、保安基準適合の遵守などは必須条件。ここで特定小型原動機付自転車の概略を把握するため、免許が必要な｢新原動機付1種｣と、さらに一般的な｢電動アシスト付き自転車｣との違いを以下の表にまとめてみました。
特定小型原動機付自転車と「原付」、自転車との比較表
この新しい車両区分ができたことには一定のメリットがあると思いますが、一方で利用する側にとっては“免許不要”といった具合に条件のハードルが低くなったことで、交通ルールを理解していない利用者による悪質な運転が多くの問題を引き起こしています。都市型モビリティの周辺では「基準がわかりにくい」とか「道路交通法上は車両でありながら、最低限の法律も理解せずに乗せていいのか」など、色々な問題が浮上しているのも事実です。電動キックボードなどに頻発しているマナー違反や交通違反は、こうした曖昧さ、さらに言えば性善説に頼った法規制が根底にあるのだと思います。
もちろん道交法を守り実際に都市部などで使ってみると、軽便な移動手段として利便性は高く、快適な移動手段だということも事実です。その上で便利で快適なモビリティの普及に求められるのは、車両本体の「安全性やクオリティの高さ」であり、大前提として利用者の命を預けるに相応しい装備の充実や品質の高さです。
そこで今回、注目したのが「パナソニック サイクルテック（以下、パナソニック）」から登場した特定小型原動機付自転車の「MU（エムユー）」です。
