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河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

副首都構想が“国家の自滅行為”となりかねないワケ 人口減少社会で新たに「ミニ東京」を作って地方から人口を吸い上げる愚【人口問題のスペシャリストが警鐘】

今こそ「人口が減っても経済成長し得る体制」への転換を

 これらの軸となる地方都市は、外国マーケットと直接結びつくことで「稼げる地方」となる必要がある。「稼げる地方」となれば、さまざまな店舗が立地できることとなり、農業従事者も生活を維持できる。「稼げる地方」となるためにも都市戦略の策定が重要となるが、それは各都市がそれぞれの地域が持つ優位性を最大限生かしながら特長立てた街になることから始まる。

 副首都を設ける是非については、国土全体に与える影響を踏まえて国家戦略として考えるべきだと先述したが、いまの日本に求められているのは、人口が減っても経済成長し得る体制への転換なのである。東京に並ぶ経済軸を立てて二極化するだけでは不十分である。繰り返すが、地方が機能してこその大都市なのであり、人口減少が進む日本は、多くの地域がそれぞれに自立する多軸型国家に移行するしかない。

 副首都にならなければ、大阪の活性化が進まないわけではないだろう。大阪以外の政令指定都市の中には、東京23区のような「特別区」ではなく、「特別市」(県の区域外となり市が原則として県の仕事をすべて担い、権限と財源を市に一本化する制度)を目指す動きもある。これも、人口減少下で政令指定都市が成長を続けるための選択肢の1つと言えよう。

 自民党と維新の会は、大阪活性化のための道具程度に位置付けて副首都構想を強引に進めるのではなく、人口減少に耐え得る社会へと日本をリデザインする政策こそ強力に推進すべきである。

■前編記事から読む:維新の会「副首都構想」検討すべき課題「今なぜ副首都が必要なのか?」人口減少ニッポンで“もう1つの首都”をつくる意味とは

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。小学館新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題。

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