直近10年での中国の貿易構造の大きな変化とは(習近平・主席。Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。高市早苗・首相の「存立危機事態」発言以降、あらためて“チャイナリスク”がクローズアップされているが、日中両国の関係が悪化した場合、それぞれの経済へのダメージはどれほどのものか。直近の日中両国の貿易構造を踏まえて、レポートする。
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1~10月における中国の貿易統計(人民元ベース)をみると、日本の輸出順位は4位で全体の4%に過ぎない。1位は米国、2位は香港、3位はベトナムといった順位である。香港の順位が高いが、香港は中継地だ。2024年における香港の中継貿易統計を見ると、最大の再輸出先は中国で59%を占めるが、2位は米国、以下ベトナム、インド、台湾、UAEと続き、日本は7番目である。
別の切り口でみると、EUへの輸出比率は15%、ASEANは18%、一帯一路国家地域は50%だ。中国にとって日本は重要な輸出先の一つではあるが、米国、EU、ASEAN、あるいは一帯一路国家などと比べるとその重要性は高くなく、日本への輸出ルートを失ったとしても他国への輸出増でカバーできるだろう。
10年前となる2015年の統計と比較すると、日本のシェアは6%から4%に低下している。米国も同様(18%から11%)だが、EUはほぼ横ばい(16%から15%)で、ASEANは大きく上昇している(12%から18%)。
習近平・国家主席が一帯一路といった国際経済協力体制の構築を初めて提唱したのは2013年9月であった。中国一帯一路網によれば、現在の加盟国はアジア41カ国、アフリカ52カ国、欧州27カ国、北米13カ国、南米11カ国、太平洋諸島国家12カ国としている。中国は明確な戦略に基づき、積極的な“仲間作り外交”によって、経済体制、経済規模、発展状況も異なる国々を経済的利益の一点で緩やかに結び付け、新たな市場を獲得している。
