中国が次の「五カ年計画」で目指すところが明らかに(Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。今回は発表されたばかりの次の五カ年計画の全貌についてレポートする。
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10月20日から23日にかけて中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が開催され、2026年から始まる第15次五カ年計画が審議された。来年3月に開催されるであろう全人代で承認される必要があるが、通常であれば若干の語句の修正が行われるぐらいで、その全貌は既に固まっている。今回はその内容について紹介しておきたい。
五カ年計画を理解するうえで、まず知っておきたいことは、第2の百年目標(新中国成立後100年に当たる2049年までに全面的に社会主義現代化強国を建設する:江沢民政権時代に初めて提唱され、習近平政権誕生が確実となった2012年に改訂された目標)といった経済・社会発展の大目標が設定されているということだ。
2021年3月の全人代では、「2035年の長期目標」、「第14次五カ年(十四五)計画」が審議され、承認された。前者の15年間にわたる「長期目標」は、2021年以降の「第2の百年目標」を2段階に分けた前半部分となる長期計画で、十四五計画はこの15年長期計画の最初の五カ年計画に当たる。今回の第15次五カ年(十五五)計画はその真ん中にあたる期間となり、「過去を受け継ぎ、未来を拓くための重要な五カ年計画」と位置付けられている。
計画が何段にも分かれていてわかりにくいので整理すれば、習近平政権誕生が確実となった2012年に改訂された「2049年までの大きな目標」がある。2020年までにトウ小平時代から続く大きな目標であった小康社会(物質面でも精神面でも満足が得られる生活状態:年代ごとに具体的な数値目標があった)が全面的に完成したと宣言された後、2049年までの中間点となる「2035年の長期目標」が設定されていて、その目標が3つの五カ年計画で区切られていて、来年からその真ん中の五カ年計画が始まる。それぞれの目標、計画は、数字というよりは言葉(概念)で語られているので、短くまとめるのが非常に困難である。
