防衛産業は国家成長戦略の一角として位置づけられている(小泉進次郎防衛大臣。写真:時事通信フォト)
高市政権では、防衛産業を国家成長戦略の一角として位置づけている。この影響は三菱重工業やIHIなどの大企業だけでなく、中小企業の業績にも及ぶと見られている。では、どのような企業が好影響を受けるのだろうか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が分析し、解説する。
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高市政権では、防衛費のさらなる積み増しが明確に打ち出された。
「GDP比2%では足りない」との発言に象徴されるように、防衛産業は国家成長戦略の一角として位置づけられている。その波は、三菱重工業やIHIを筆頭とした大手企業だけでなく、部品供給・安全装備・制御技術を担う中小企業にも及ぶ。
高市早苗・首相は「防衛費は民間の稼ぎにもつながる」と明言している。
この発言の背景には、防衛強化を単なる国家支出ではなく、民間企業の技術開発や雇用創出、さらには輸出産業としての育成まで視野に入れた政策構想がある。
防衛費が公共投資として経済を下支えするだけでなく、企業の収益機会を生み出すエンジンとして機能することが期待されている。高市政権における政策姿勢は、予算の裏付けがある成長テーマとして、引き続き市場から評価されるだろう。
これまで防衛産業は限られた大手企業に集中していたが、近年は中小企業の技術力や生産能力を活かす方向へ政策がシフトしている。産学連携の推進やサプライチェーン再構築など、広範な民間参入を促す施策が展開されており、従来は防衛銘柄ブームと縁遠かった企業にも受注機会が広がりつつある。
こうした産業構造の変化は、中堅防衛株の成長余地を大きく広げる要因となっている。投資家にとっても、大手企業だけでなく、技術力を持つ中小企業にも注目すべき局面ではないだろうか。
大型株の次に来る”小型防衛株”ブームの波
実際、防衛関連投資の主役は、大手企業から中小企業へとシフトしつつある。すでに株価が上昇した大型株に対し、これから本格的な恩恵を受けるとの期待がある小型株への関心が高まっている。
防衛装備の多くは、中小メーカーが供給する部品によって成り立っている。電子部品、センサー、制御機器、防護用品など、現場を支える企業群が存在する。大手企業が受注を拡大し設備投資を進めれば、その効果は必然的に下請け・協力企業へと波及する構造だ。サプライチェーン全体での需要拡大が見込まれる環境において、これら中小企業の収益機会は確実に増加する。
では、どのような中小企業が投資対象として魅力的なのか。今回は防衛分野で存在感を高めている中小型株を紹介する。独自の技術力を持ち、防衛需要の拡大から恩恵を受ける立場にある企業だ。
