親族が銀行口座からお金を引き出すことは可能なのか?(イラスト/大野文彰)
身内の者が病に倒れた場合、家族や親族が面倒を見るとしても、入院費や治療費については、患者本人が負担するのが自然だ。しかし、もしも患者の意識がなかったり、認知に問題があった場合はどうすればいいのか。親族が、勝手に患者の銀行口座からお金を引き出すことはできるのか?実際の相談に回答する形で、竹下正己弁護士が解説する。
【相談】
1か月以上前に義兄(独身)が倒れて入院。両親は他界しているため、弟である夫と私が面倒を見ていますが、義兄は意識がきちんと戻らず会話もままなりません。私たちが入院費を支払っていますが、義兄の銀行口座の暗証番号がわからずお金を引き出すことができません。義兄のキャッシュカードや免許証などは預かっていますが、お金を引き出すにはどうしたらよいですか。(東京都・60才・主婦)
【回答】
預金者の意識がない状態だけでなく、認知症が進んで自分で判断できなくなった場合も、預金の引き出しはできません。しかし実際に費用がかかっていくと、近親者の負担が増すばかりですので、いくつかの対応策があります。
認知機能が衰え、物事の判断ができなくなっていれば、成年後見手続きを開始し、就任した成年後見人が預金取引をすることができます。またその手続きが取られるまでの暫定的な期間、本人のためにやむを得ない支出に充てられる場合には、銀行は預金の引き出しを認めると思います。
認知機能の低下がそこまでに至らない場合でも、認知症などの症状がみられる高齢者には、あらかじめの準備も可能です。具体的には、信頼できる親族などを預金取引の代理人として委任し、銀行に届け出ておくことです。有効な委任契約であることが確認されれば、代理人による預金の引き出しができます。とはいえ、これらは対応する時間的ゆとりがある場合のことです。
