戦後の高度経済成長期には、人々の生活水準が向上し、団体旅行の需要が増大した。その後は道路網の発達や航空の大衆化によって、バスや航空機を利用する団体旅行が増えた。
ただし、それで列車による団体旅行が衰退したわけではない。日本旅行に尋ねると、1964年の東海道新幹線開業を機に、新幹線を併用した団体旅行があったと回答があった。
駐車場に並ぶバス。道路網が発達すると、バスを使う団体旅行が増えた
縮小する団体旅行と社員旅行
国内の代表的な団体旅行には、社員旅行と修学旅行がある。日本旅行によると、社員旅行は高度経済成長期に一般化し、1980年代のバブル期に最盛期を迎えた。景気の波に乗って広がったのだ。
近年は、国内旅行における団体旅行の割合が減少傾向にある。観光庁の「関連データ・資料集」によると、個人旅行の割合は2018年にパック・団体旅行を超え、増え続けている。
また、代表的な団体旅行だった企業の社員旅行は、実施率が縮小している。観光庁の同資料によると、社員旅行の実施率は1994年から20年間で約5割縮小している。
国内旅行に占める個人旅行とパック・団体旅行の推移。個人旅行の割合が増え続け、2019年にパック・団体旅行を超えた。画像出典:「関連データ・資料集」国土交通省観光庁
社員旅行の実施率の推移。1994年以降の20年間で約5割縮小した。画像出典:「関連データ・資料集」国土交通省観光庁


