お金を持っているからといって幸せとは限らない(イメージ)
日本では、「金持ち」が嫉妬される――。2008年から日本全国の加害者家族を対象とした支援活動を行なっているNPO法人World Open Heart理事長の阿部恭子氏は、こう指摘する。日本では、事件後の社会的制裁によって加害者家族が自殺にまで追い込まれるようなケースは、貧困層ではなく、むしろ社会的地位の高い、比較的裕福な家庭に多いという。
同氏による著書『お金持ちはなぜ不幸になるのか』より、“日本人はなぜお金持ちを妬むのか”についての考察を、一部抜粋・再構成して紹介する。【全3回の第1回】
世間の同調圧力が独特の妬み意識を生み出す
大阪大学社会経済研究所を中心とする研究グループは、日本経済低迷の一因として、日本人は諸外国と比べて他人の足を引っ張る傾向が強いことを挙げています。九州工業大学名誉教授の佐藤直樹氏も、世間学の視点から日本では世間の同調圧力が独特の妬み意識を生み出していると分析しています。
「出る杭は打たれる」という言葉が示すように、日本に蔓延する妬み意識は、誰しも肌で感じたことがあるのではないでしょうか。もし宝くじで高額当せんしたら、あなたはその事実を公表できますか。おそらく公表した途端、周りの人の対応が変わったり、犯罪に巻き込まれる不安から秘密にする人の方が多いはずです。
アメリカでは、当せん者が新聞などを通して堂々と公表するケースは少なくありません。アメリカ人はそれを見て「なんてラッキーなんだ。もしかしたら自分にもチャンスが回ってくるかも」と希望を見出すという話を聞いたことがあります。
「あの人ばっかり」という僻(ひが)みが先に立ってしまう日本とは対照的です。芸能人でもない限り、たとえお金があっても、僻まれることを怖れてあえて質素に暮らしている人も少なくないでしょう。
なぜ日本では、それほどお金持ちが僻まれるのでしょうか。
