「数学オリンピックのメダルがないと受からない」は本当か
さて、東大の推薦に関しては「アカデミックな成果がないと合格しない」「数学オリンピックや物理オリンピックでメダルがないと合格しない」という印象を持っている人もいるかもしれないが、実際には違う。
東大の推薦において、探究学習の成果は出願の要件であるが、オーソドックスな高校生らしい探究学習の成果で十分に通るのだ。その代わり、学力の担保は求められる。
ある地方の女子高校生は探究学習で大きな賞をとり、評定平均値はオール5に近く、共通テストも8割以上取ったが、東大の推薦には不合格となった。
理由は、その高校が地域の最難関高校ではなかったからだと考えられる。地方の場合、最難関高校以外は入試で定員割れをしているケースも多い。彼女の高校でその評定では学力の担保ができないと判断されたのではないか。
一方で共通テストの点数が微妙な中堅高校の生徒でも、アカデミックな視点で評価できる論文を書いて提出すれば、合格するケースもある。それは探究学習のコンクールで評価される「高校生らしい優等生的な論文」とは全く違うレベルのものだ。
しかし、そんな論文を書く高校生は滅多にいないし、いたとしても評定平均値が高くなければ推薦入試には出願できない。つまり、推薦入試であってもシビアに基礎的な学力を見られていると考えてよい。
「探究学習で成果を出す生徒」の評定平均がよいとは限らない
高校の先生たちがよく口にする悩みは「探究学習の成果を出す生徒は評定が高くない」ということだ。これはさまざまな難易度の高校で共通することのようだ。
ある難関高校の生徒は、高校在学中に世界的ともいえるレベルの論文を書いた。海外トップ大学から「素晴らしい」と評価されたという。それならそのトップ大学に進学できてもよさそうだが、欧米のトップ大学に進学するためには高校の成績が重視される。その生徒は評定平均値が高くなかったために、海外トップ大学も東大の推薦も出願できなかったのだ。
これと同じような話は全国の高校で実に多く聞く。
「なにかをやるということは、なにかをやらない」ということなのかもしれない。高校生が世界的なレベルの論文を書くとなれば学校の勉強はある程度放棄しているかもしれず、そうであれば評定は下がっていく。
東大の学校推薦型の出願要件の「成績優秀」であり、一定の難易度の高校でその評定平均値があって、アカデミックな成果を出せる高校生は全国を探してもそうそういないのだ。