アメリカで予測される最悪の事態
池上:最悪の事態はアメリカでも予測されています。トランプ政権が課した関税の合憲性をめぐる最高裁の判決が近く下されます。議会を通さず行政権限で乱発した関税が違憲となれば、「支払った関税を返せ」「高値買いさせられた分を返せ」という訴えが国中から起こされ、大混乱に陥ります。
佐藤:さらに最大のリスクとして考えるべきは、ウクライナをめぐる譲歩、対中姿勢の変化を含め、分断を深める政策を進めたことによる「トランプ暗殺リスク」です。現実のものとなればトランプ派が武器を取り、アメリカが分裂する内戦にさえ発展しかねない。
トランプは、リンカーンやF・ルーズベルトに匹敵するマグニチュードの政策転換をする大統領です。しかも戦略的ではなく無意識のうちにやっている。だから関税政策に違憲判決が下っても、また同じような政策に戻ってくるはず。その意味でもやはりトランプを中心に動いていく1年になるし、そこに常に暗殺リスクがつきまとうことになりそうです。
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【プロフィール】
池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から『週刊こどもニュース』のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。名城大学教授、東京科学大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』『知らないと恥をかく世界の大問題16 トランプの“首領モンロー主義時代”』『米中対立 日本はこうなる』など。
佐藤優(さとう・まさる)/1960年、東京都生まれ。元外交官、作家。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在露日本国大使館などを経て外務省国際情報局に勤務。現在は作家として活動。主著に『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』、近著に『佐藤優の特別講義 戦争と有事 ウクライナ戦争、ガザ戦争、台湾危機の深層』『第三次世界大戦を阻止するのはトランプしかいない』など。
※週刊ポスト2026年1月16・23日号