「養育費未受給」を防ぎハードルを下げる
他にも的場氏は、当事者が法的知識を持たない一般人の場合、弁護士とのやり取りが何往復も生じるなど、“余計な時間がかかる”ことを実感。調停といえど、いざ夫婦がリアルで対面すると感情的になり、話し合いが滞るといった話も耳にした。そうしたとき、長年システム設計やプラットフォーム構築に携わっていた的場氏の頭に浮かんだのが、「オンラインで完結できるものは、そうしたらいいのに」というシンプルなアイデアだったという。
「そもそも離婚って、まず最初に何をしたらいいかわからない。財産とか子供のこととか、何からどう手をつけたらいいかわからない。しかも知らない方が損するイメージも強い。オンラインなら時間の自由度が圧倒的に広がりますし、自分に必要な手続きをボタンで選択するだけの設計にすれば感情も入らず、合理的な判断ができる。さらに、調停人を弁護士がやったら話が早いと思い立ちました」
世の中で「養育費の未受給問題」という深刻な問題が蔓延していることも、的場氏の起業を後押しした。
「離婚はもはや珍しいことではありません。それなのに、厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によると、母子世帯のうち、養育費の取り決めをしている割合は46.7%と半数以下。取り決めをしていない理由は、『相手と関わりたくない』『相手に支払う意思がないと思った』など。一方で、たとえ取り決めをしても、『養育費を現在も受け取っている』と答えた割合は28.1%と、3割にも満たないんです。
協議離婚では、養育費の取り決めをせずに離婚が成立しますし、取り決めをしていても口約束だけで、法的な効力をもたないことも多い。多くの人は調停離婚が面倒くさい、余計なお金がかかるという印象から協議離婚をするわけですが、結果的に実際に子を育てる側が養育費未受給のような不利益を被らずに、調停離婚のハードルが下がれば解決する問題もあるのでは、と考えました」