文科省の動きはあまりに遅くて不十分
AI失業の動きは日本でも大企業を中心に「黒字リストラ」としてすでに始まっているが、遠からず本格的な流れにつながり、社会問題化しよう。必然的に雇用の流動化も進むことにもなる。
ところが、政府や国会の動きは鈍く、態勢の整備は遅れている。先の衆議院選挙でもこのテーマの論戦は低調だった
「2040年の就業構造推計(改訂版)」は、AI失業以外の課題もいくつか浮き彫りにした。
もし「AIロボット人材」の不足がこのまま放置されたならば、日本は「AI後進国」と化し、日本経済全体を衰退させよう。また、「現場仕事」の技術者の不足は社会機能を麻痺させる。文部科学省は理系農系人材の育成強化に乗り出そうとしているが、あまりにスタートが遅く、しかも学校教育を見直すだけでは不十分だ。
労働需要のミスマッチの解消は急務であり、日本の未来をも左右する。AI技術を使いこなす「現場人材」をはじめ、国を挙げてAIへの設備投資や人的投資を加速しなければならない。
経産省が示した推計は、日本人の就業環境が新たな局面に入ったことを知らせるアラームでもある。われわれはその警告音を無視してはならない。
■前編記事から読む:経産省が公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」の衝撃的な内容 人口減少でも「大きな人手不足は生じない」と結論、逆に事務職・文系人材は“人余り”も
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。小学館新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題。