「老老相続」のトラブルをどう避けるか(イメージ)
75才以上の人口は昨年末時点で約2100万人を超え、日本人の6人に1人が後期高齢者となる。この超高齢社会において、60代の「子」が80代以上の「親」から財産を受け継ぐ「老老相続」の問題が増加中だ。相続をする方もされる方も、ともに高齢であることで、さまざまな相続トラブルが発生しやすくなり、場合によっては損をすることにも。「そのとき」に後悔することのないよう、知識を蓄えておこう。【全3回の第1回】
80代以上の世代に“あるある”な勘違い
まず、親が80代以上の場合、“この世代ならでは”の問題が生じる可能性がある。ベリーベスト税理士事務所の税理士・中島麻子さんが言う。
「現在80代、90代の人は“先祖代々の土地を大切にしたい”と考える人が多く、不動産を手放したがらない傾向が見られます。ですが、地方の不動産などは利用価値が低い一方で相続税はかかるケースが多いため、相続の際に押しつけ合いになることも少なくありません」
不動産は2024年4月から、相続から3年以内の登記が義務化されていることを知らない親も多い。相続実務士の曽根惠子さんが話す。
「親が代々受け継いできた土地を登記せずに相続した結果、いざ自分が相続したときに名義が先代や先々代のままになっていることもある。この場合、10万円以下の罰金(過料)が科されることがあります。まずは自宅や土地の名義を早めに見直しておくことをおすすめします」
高齢の親の場合、そもそも相続に関する勘違いをしている場合も少なくない。よくあるのが、「口座残高を減らせば、相続税がかからなくなる」というもの。
「口座に残っているお金だけでなく、たんす預金も、手持ちの現金も、すべて相続税の対象です。むしろ高齢になってから頻繁にお金を引き出していると税務調査の対象になることがあるため、頻繁に出金することはおすすめしません。
また“亡くなるとすぐに口座凍結される”というのもよくある誤解。葬儀費用などのため事前に大金を引き出して子供の口座に移す人もいますが、贈与税の対象になることがあるほか、ほかの相続人とのトラブルのもとになる可能性もあります」(中島さん)
こうしたトラブルを避けるため、やはり日頃から親と連絡を密に取ることが重要だ。
「相続の話ができるだけの関係性を保っておくことが、老老相続トラブルを避ける第一歩。そうしておけば、孤独死を防ぐことにもつながるでしょう」(曽根さん)
