黒霧島で行くと決意した
見るからにメンマと合うであろう黒霧島は1杯500円
小瓶のチンタオは、10分もたなかったね。次の酒をどうするか……。
どうしたことだろう。この日の私は、昼の2時半だというのに、強い酒が欲しくなっていた。ピータンにメンマときて、次にはまあ、ほぼ100%の確率で、腸詰めを頼むことになると、半ば心は決まっていた。
となると、欲しくなるのが、キックのある酒、そうスピリッツだ。チャイニーズたちのスピリッツといえば白酒(パイチュー)だ。中国の北のほうが原産の白乾児(パイカル)がある。これは、高粱を原料とする焼酎みたいなものだが、度数が60度近い。昔、北九州は門司港の中華食堂で豚耳をつまみに飲んで、ぐらりときたことがあるのだが、あの、独特の匂いもピータンや腸詰め(この店の腸詰めは台湾風かな?)をつまみながらやるには、キックが強くてスカッとするだろう。
台湾ということでは、もう15年も前、台南で飲んだ金門高粱酎も懐かしい。台湾と中国本土の途中にある金門島で造られる白酒で、たしか度数は58度だった。塩と油のきつい料理を食べながら、ロックグラスにクラッシュドアイスを詰め、そこにドボドボ注いだ透明なキツイやつを、くいっ、くいっとやるのだ。
これがまた、よく効いてねえ。食事の後でいったんホテルへ帰り、汗を流してからまたバーへ行ったけれど、ホテルバーでスコッチを飲む間も、金門高粱酎の、ウッとくる匂いと強さが何度も蘇り、酔いが深まると、台湾人の女性バーテンダーに、いつか東京においでよ、なんて、下手な英語で話しかけ、よこで飲んでいたヤンキー(怖い兄ちゃんじゃなくてアメリカ人のこと)らしい若者に睨まれたりした。
まあ、今となっては昔のことよ、と思いつつ、白酒を探すが、メニューにはない。そこで、薩摩の黒霧島のオンザロックをいただくことにした。
驚いたのはケンちゃんだ。どうしようかな、としばし迷った挙句、彼は杏露酒のソーダ割りを注文したのだった。アンズ酒ですよ。甘くておいしい。それは私も知っている。ソーダで割るのがうまいのも知っている。しかし、私が黒霧のロックで攻めていこうとしている目の前で、「シンルチュウください」はないだろ。
と、思わないでもないが、好きなものを飲むのがいい。ピータン豆腐にはぜひともコーラを合わせたいという人も、いるかもしれないし、それはそれ。好みの問題だし、私はただ、黒霧で行くと決意しているのだった。
