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ライフ

【五輪は無料で見られたのにWBCは有料】配信時代に両極化するスポーツ中継の向かう先 有料配信はライト層への普及ハードルになる一方で「コアなファンの需要に応える存在」に

全ての競技が無料で楽しめたミラノ・コルティナ五輪

 WBCが有料配信のみになった一方で、ミラノ・コルティナ五輪は、テレビ中継にくわえて、ほぼ全試合をTVerおよびNHK ONEで無料生配信した。いずれも会員登録なしで視聴可能で、見逃し配信もあり、多くの人が手軽に五輪を楽しめたのだ。

 埼玉県の自営業Bさん(50代男性)は、ネット配信でミラノ・コルティナ五輪を満喫したという。

「五輪期間中は毎日、現地で試合が始まる夕方になると、パソコンでTVerとNHK ONEの五輪ページを開き、その日に中継される競技をチェックし、そこからずっといろいろな競技を見ていました。日本人選手が出場する試合だけでなく、これまであまり知らなかった競技も見られて、充実した生活を送れました。

 自分が子供だった40年くらい前を思い返すと、オリンピックもテレビで生中継する競技は限られていたわけです。当時は日本人がメダルを獲ったといっても、いわゆる“マイナー競技”だったらスポーツニュースで紹介されるくらいで、なかなか詳細を知ることが難しかった。それが、いまは無料でどんな競技でも見られるんだから、スポーツファンにとってはありがたい時代になったと思います」

物足りなさを抱くコアなファンに響くリッチコンテンツ

 手軽に見られなくなったWBCと、無料で網羅的に見られるようになった五輪。メディアにおけるスポーツ中継の扱いが“両極化”しているとも言えるこの状況について、前出の大塚氏はこう分析する。

「スポーツの試合を地上波テレビなどで手軽に見られることによってそのスポーツ人口が増え、強化が期待できる。今回のミラノ・コルティナ五輪を見て、ウインタースポーツに興味を持った子供も多かったはずです。そういう意味で、五輪がテレビ放送だけでなくネット配信、かつ無料で見られるのは、とても意義あることだと思います。

 また、WBCがNetflixでしか見られなくなったことで、“野球離れ”が進むとの見方もあり、その側面が否めないのも事実です。ただ、プロ野球の地上波中継がかなり減っている現状がありながらも、2025年のNPBの試合では史上最多となる2704万人を動員し、野球人気はむしろ盛り上がっている。少なくとも野球を取り巻くビジネスは拡大しています。となれば、WBCやサッカーのワールドカップのような大きな大会の放映権料が高騰するのは仕方ないことでしょう。その結果、大金を払えない地上波が撤退し、資金力があるネット配信サービスに放映権が行くのは、もはや避けられない流れでもあります」(以下同)

 今回のNetflixでのWBCの中継では、制作を日本テレビが担当。数多くの有名元プロ野球選手などが解説を担当し、スタジオゲストには原辰徳氏、松坂大輔氏、ラーズ・ヌートバー選手が登場。総勢48名の解説・実況陣が試合を届ける。また、プレーをさまざまな角度で捉える「ボリュメトリックビデオ」やホームベース周辺に設置した「ダート・カメラ」、球場内でのドローンカメラなど、東京ドームの野球中継としては初となる新技術を導入する。WBCでは地上波テレビとはまた違った、野球中継が楽しめることとなりそうだ。

「Netflixなどの配信サービスは地上波に比べて潤沢な制作費があり、その分、豪華でクオリティーが高い作品が制作できる。ドラマや映画だけでなく、スポーツ中継においても同様の流れが進んでいくということです。

 地上波での野球やサッカーの中継の場合、“用語解説”が表示されるなど初心者向けの情報が多く、なかにはそれらを不必要だと感じ、むしろ情報の物足りなさを抱くコアなファンもいる。そういった状況の中、有料配信のスポーツ中継は、よりディープに楽しみたいというコアなファンの需要に応える存在になっていくのではないでしょうか」

 有料配信という点で、ライト層に対するハードルが高くなっていることは否めないが、より専門的で臨場感のある中継となるなら、コアなファンの満足度は高くなるだろう。スポーツ中継の主戦場が地上波からネット配信に移行する今、その楽しみ方も変わりつつある。

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