クックパッドが出した声明(公式サイトより)
料理検索アプリ「クックパッド」が3月19日に新サービス「レシピスクラップ」を発表したことで、料理研究家やレシピ提供者から不興を買い、炎上する騒動となった。長年、ネット上で巻き起こる炎上騒動を見つめてきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、「クックパッドの栄枯盛衰」を感じたという。一時は人々を熱狂させたものの、移り変わりの早いネット上の空気を読み切れず、あるいは炎上も手伝って、いつしかしぼんでいったウェブサービスを、中川氏が振り返る。
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クックパッドの「レシピスクラップ」は、SNSやウェブ上で見つけたレシピのURLを自身のクックパッドアプリ上に貼り付けると、AIによりその詳細情報が一括保存できるという内容でした。レシピの元投稿(ページ)にアクセスされない懸念や、作成者の努力が報われないことなどが批判の対象となったわけです。
こうした騒動を受けてクックパッド側は、「いただいたご意見をもとに、機能の仕様も含めた見直しを進めてまいります」などという声明を発表、サービス名も「レシピ取り込み」と変更する羽目に。この騒動を見てつくづく、ウェブサービスの栄枯盛衰を感じたわけです。
実際、クックパッドは2010年代中盤までは隆盛を誇ったものの、その後は動画でわかりやすくレシピを伝えるアプリや動画配信サイトに押されていた印象です。
1998年3月にサービスをスタートさせたクックパッドは、一般人が、気取らないレシピを数多く投稿することで盛り上がりました。「実際に作ったらおいしかった」という親近感こそが売りであり、「自分にもこれなら作れそう」と思わせるレシピの数々が魅力だったはずです。一方で投稿者側には、「みんなが喜んでくれるといいな」というネット黎明期ならではともいえる“性善説”がまかり通っていたと私は感じています。
何しろ、レシピを公開してもユーザーが特段収益を得られるわけではない。運営としてはより使い勝手の良いサービスを受けられる有料会員の課金や広告で売上を立てていたわけですが、投稿主は、自分のレシピを参考にした人が写真やコメントを投稿する「つくれぽ」(「つくりましたフォトレポート」)の件数が多いことがモチベーションとなっていた。
称賛を励みとする投稿主を集めつつ、手軽なレシピ検索機能を武器に、2016年には月間ユーザー数が6000万人を突破する一大メディアとなりましたが、2017年以降、健康被害が生じる可能性があるレシピが野放しになっていることなどが問題視。さらに前述のように、アプリや動画の台頭によって、「クックパッド離れ」とでもいうべき凋落を辿っていきました。
そんな低迷期のなか、勃発した今回のクックパッド騒動は、“ユーザーの利便性を追求しているように見えて、投稿主へのリスペクトが感じられない”ことが問題の根幹でした。サービスインにあたり、ユーザー視点と投稿主視点の両立ができていなかった。そこに私が覚えたのは、タダでレシピを投稿してもらっていた老舗サービスゆえの、“時代についていけなかった感”です。ウェブサービスの栄枯盛衰を感じずにはいられません。
