2教科なら個別指導塾で対策という選択肢
大学受験の私立文系を目指す場合、英語・国語・社会の3教科だけを予備校や塾で受講するし、私立高校入試対策も英語、国語、数学の3教科の対策に集中することが多い。ところが中学受験の集団塾は基本的に4教科セットでの受講だ。大手中学受験塾の中で1教科から受講できるのは、栄光ゼミナールくらいである。
そのため、「近所の評判のよい中堅女子校は、2教科入試で偏差値40台。国語と算数だけ対策したい」というような場合、個別指導塾での対策が十分現実的な選択肢となりうる。こうした個別指導塾では四谷大塚の「予習シリーズ」や栄光ゼミナールの「新演習」を使って指導するケースが多い。
個別指導の課題について、渋田さんはこう指摘する。
「個別指導のネックは、丁寧に分かるまで教えるため、カリキュラムが終わらないことがある点です」
集団塾はカリキュラムの進度を優先するため、理解が追いつかない生徒は質問や自宅復習で自分で克服するしかない。一方、個別指導では生徒が理解できるまで教えるため、最後まで終わらないケースが生じうる。指導力のある講師ならペース調整ができるが、個別指導では学生アルバイト講師が多く活躍する。年齢が近いため子どもと親しい関係を築きやすいというメリットはある反面、受験直前にカリキュラムが未消化のまま、という状況に陥るリスクが出てくるのだ。
今回は「塾なし受験」の定義と入試の多様化について言及し、個別指導で2教科の対策をするメリットとデメリットを見てきた。こういった対策はあくまでも中堅校対策だ。次回は、難関校対策を塾なしでどこまでできるかを探っていく。海外や地方にいて塾に通えなかったが御三家に合格したという受験生が毎年いるのは確かなのだ。どうやって対策をしたのか具体的に見ていこう。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(ともに青春出版社)も話題に。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)、『東洋経済education×ICT』などで連載をしている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも更新中。