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医心伝身プラス 名医からのアドバイス

【下肢痛治療の最前線】歩行時の脚の痛みから始まる重症化リスク 自分でも判断できる血流不良のサインとは?特に糖尿病や透析患者は細心の注意を【専門医が解説】

深爪や靴擦れが「足の切断」を招くこともある

「歩き始めてしばらくすると、脚のだるさや痛みで歩けなくなり、休むと回復する」という間欠性跛行の症状が出た際、何科を受診すべきか迷う方も多いでしょう。まずは整形外科を受診し、脊椎に異常がないと判断されたら、循環器内科や血管外科を訪ねてください。適切な検査を受けることで、原因の特定と治療の開始が可能になります。

 この病気の大きな問題は、歩行時の痛みが和らぐと「治った」と自己判断して治療を中断してしまう患者さんが多いことです。たとえ痛みがなくなった(無症状)としても、動脈硬化そのものが解消されたわけではありません。禁煙、運動、糖尿病管理を徹底し、薬物療法を継続しなければ、再狭窄や閉塞を招き、予後の悪化に直結します。

 また、加齢に伴い体が硬くなると、足の爪を切ることが難しくなり、深爪をしてしまう機会が増えます。動脈閉塞により血流が滞っている足先は、免疫力が低下し非常にデリケートな状態です。そこに深爪や靴擦れ、転倒による小さな傷ができると、そこから細菌が入って組織が腐る「壊疽」を引き起こし、最悪の場合は切断という事態になりかねません。

 ASOの予防において何より重要なのは、毎日自分の脚をしっかり見ることです。動脈が閉塞して血流が悪くなると、皮膚の色が悪くなるだけでなく、次第に毛が薄くなり、汗腺が消失して汗をかかなくなります。さらに「皮膚が薄く光沢を帯びる(ペラペラ、テラテラになる)」「足の爪が小さくなる」といった現象は、すべて血流不良のサインです。特に糖尿病や透析を受けている方は、膝から下の動脈に狭窄が起こりやすく、小さな傷から壊疽を起こしやすいので、細心の注意が必要です。

 ご自身でのケアが難しい場合は、皮膚科で爪を切ってもらう、あるいは、フットケア専門の看護師に状態を診てもらうのも有効な対策になります。日頃から“自分の脚”に関心を持ち、小さな変化を見逃さないことが、結果として心筋梗塞や脳梗塞といった重大な事態を防ぐ最良の道となるのです。

脚に現われる血流不良のサインを見逃さない

脚に現われる血流不良のサインを見逃さない

■前編記事から読む:【下肢痛治療の最前線】脚の動脈が閉塞し血流が不足する「下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)」、脊柱菅狭窄症の症状による痛みとの見分け方 重症化すると切断リスクも【専門医が解説】

「日頃から“自分の脚”に関心を持ち、小さな変化を見逃さないこと重大な事態を防ぐ最良の道です」と語る中村正人教授

「日頃から“自分の脚”に関心を持ち、小さな変化を見逃さないこと重大な事態を防ぐ最良の道です」と語る中村正人教授

【プロフィール】
中村正人(なかむら・まさと)/東邦大学医学部名誉教授。同大学医学部循環器疾患低侵襲治療学(寄付講座)教授。1982年東邦大学医学部卒業後、三井記念病院や米国セダーズ・サイナイ医学センターへの留学を経て、2008年より東邦大学医学部教授(内科学講座循環器内科学分野)、2016年からは同大学医療センター大橋病院循環器内科診療部長を歴任。現在は名誉教授として後進の育成にあたるとともに、寄付講座を通じて最新の循環器疾患治療の普及と、患者の身体的負担を軽減する医療技術の社会実装に尽力している。

取材・文/岩城レイ子

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